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オニツカの遺伝子 (ベースボール・マガジン社新書 13) 折山 淑美 ベースボール・マガジン社 2008-07 |
北京オリンピックが始まりましたね。オリピックでは必ず
スポーツウェアも話題になり(例えばアディダスVSプーマとか)、
今回はSPEEDOの水着に関するニュースをよく見ましたが、
やはり、スポーツウェアの主役と言えば、スポーツシューズでは
ないでしょうか。陸上競技をはじめとし、ほぼ全ての競技で
勝敗に関わってくる重要ファクターです。
そのスポーツシューズといえば、真っ先に名前が挙がって
くるのがアシックス(オニツカタイガー)です。
オリンピックによって技術が磨かれ、「アシックスストライプ」
誕生の背景もオリンピックが関係しており、そして、何より、
多くのトップアスリートに絶大な信頼を寄せられています。
特にマラソン競技では圧倒的なブランド力を誇っているのですが、
そんなアシックスの「ものづくり」に対する姿勢や
「トップアスリート(主にマラソン関係)との裏話」が
楽しめるのが、本書『オニツカの遺伝子』です。
著者はスポーツライターなので、「ファッション」の
話はほとんど出てきませんし、オニツカの遺伝子を受け
継いでいるであろうナイキ(オニツカのシューズを輸入&販売、
そして技術者の引き抜きも行っていた)の話も一切出てきません。
あくまでスポーツの話が中心ですが、オリンピックイヤーですし、
ランニングブームですし、最近は「オニツカタイガー」の
スニーカーも人気が再燃しているので、本書を読んでおくのも
いいと思いますよ。まさに旬といえますし。ページ数も
200ページくらいで、字も大きいのですぐに読み終わります。
第1章 神の手を持つ男
第2章 オニツカ黎明の日々
第3章 オニツカの心
第4章 神の頭脳を持つ男
第5章 オニツカスピリッツ、この大いなる遺産
第1章はトップアスリートの特注シューズを手がけて
きた三村氏、第2章は「アディダスの真似は止めましょう」と進言し、黎明期からシューズ開発に携わってきた坂口氏、第3章は宣伝・プロモーション部門でオニツカを支えてきた
植月氏、第4章は一般ユーザー向けのシューズを開発している
西脇氏をクローズアップし、オニツカスピリッツに迫っています。
そして第5章で、第1章から第4章で語られてきたオニツカスピリッツが
1つの線となり、創業者の鬼塚喜八郎氏という人物にたどり
着くのですが、なぜ、スポーツシューズを作ろうと思ったのか、
なぜ、最初にバスケットシューズに目をつけたのか、
頂上作戦・キリモミ商法・裾野作戦はどのように生まれたのか、
それらが鬼塚喜八郎という人物と共に語られるのです。
特に面白かったのが、大黒柱と言われる2人の人物、
第1章の三村氏と第4章の西脇氏の話です。第4章の西脇氏の話は、
ランニング愛好家にとって興味深い内容でしょう。氏が何を考え、
どのような工夫をしているのかが、仕組みや素材の話を交え、
具体的に説明されるのですね。
「踵が倒れ込むのは、人間にとってはすごく自然な動作なんです。
それを変に止めると前に進まない。だから、少し高速用の
靴になってくると、倒れこみを防ぐ内側の素材も、そんなに
硬いものは入れていません。それにソールも薄いですね。
クッション性があまりに高すぎると、砂浜を走るのと同じで
前へ進まないんですよ。<中略>だから逆にいえば、自分の
足で曲がりなどをコントロールできない人には、ソールの薄い
高速用シューズは軽すぎますね。それを理解しないで買って走ると、
痛い目に遭ってしまうんです。実際、軽いシューズが好きなのは
日本人だけです」
というわけで、踵の倒れ方別に3種類、走る速度別に4種類、
要求機能のレベルを変えて、西脇氏はランニングシューズを
作っているそうなのです。ランニング好きは、第4章を読めば、
きっと、実際に履いてみたくなるはずです。
もう1人の大黒柱である、第1章の三村氏の方は、スポーツの裏話が好きな人にはたまらないでしょう。例えば、シューズにキスをした野口
みずき選手の話、靴の接地面のクッションで走るという高橋尚子選手の話、レース4日前に踵を痛めた有森裕子選手の話などが、靴の仕組みと共に語られます。
メダル候補でもあった彼女を棄権させるわけにはいかない。
「ジョギングシューズなら、痛くてもなんとか走れるかもしれない」
という有森に、三村は「それじゃレースにはならないぞ」と
言い返す。2時間ほど話をし、「なんとか走れるようにする」
と言って、有森を返した。溜まっていた作業をあと回しにした三村は、
クーラーもない作業場にこもってシューズの改良を始めた。
ソールをすべて剥がし、クッション性のある厚いものに換えた。
インナーソールもバネのある素材に換え、痛いという踵の
部分には衝撃を緩衝する素材を入れるという工夫をした。
三村氏は選手やコース・気候の条件に合わせた微調整をするために、
現地に必ず機械やさまざまなシューズの材料を持って入るそうです。
現在、野口みずき選手が故障していますが、17日のレースに向け、
きっと、今頃、三村氏が足に負担のかからないシューズを作っている
のでしょうね。有森選手の時は、10キロで棄権してもおかしくない
状態だったそうです。肉離れと踵の故障では話が全く違ってきますが、
なんとか上手くいくことを祈っています。

コメント
コメント一覧 (3件)
まさかElasticでオニツカタイガーの本がプッシュされるなんて!!
バスケットボールシューズの話有名ですよね。
タコの刺身を見ていてタコの吸盤型のアウトソールを思い付き滑り止めの革命を起こした鬼塚喜八郎氏。
正に鬼才かと
最近出たMADE IN JAPANシリーズ買いましたが気に入って履いてます
NIPPON MADEのやつですか
いいなあ
>少年Kさんへ
外国のブランドばかり注目されがちなので、オリンピックを機に、オニツカにも目を向けて欲しいと思い取り上げてみました。