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部長!ワイシャツからランニングがすけてます 男の器は服でつくる (朝日新書) ドン小西 朝日新聞出版 2009-04-10 |
「「まずはお前をチェックしろ!」なんていう言葉は、もう百万回は吐かれているよ」と本書『部長!ワイシャツからランニングがすけてます
男の器は服でつくる』でも語っているように、
歯に衣着せぬ発言とエキセントリックな服装から叩かれる
ことも多いドン小西氏。しかし、賛否両論ながらもそのファッションチェックは的を射ていることが多く、プロらしい着眼点も垣間見れるので、私はよくFAnetの「ドン小西のファッション激辛丼」と週刊朝日の「ドン小西のイケてるファッションチェック」を読んでいるのですが、
本書もそのファッションチェックを軸に、世のオジサンたちにファッションの指南をする、というスタンスで書かれています。
<目次>
第一章 オバマはなぜ大統領になれたのか
成功する男のファッションの条件とは
第二章 ファッションはビジネスツールだ!
洋服で成功する人、損をする人
第三章 平成おやじファッション図鑑
陥りがちなパターンの傾向と対策
第四章 「ちょいワル」のあとになぜ、「カレセン」がきたのか?
トレンドを読み解く方程式
第五章 人の振り見てわが振り直せ!
「ドン小西のイケてるファッションチェック」(週刊朝日連載)から
第六章 Yes, You Can Change!
今日から変われる、イケてるおやじへの12の格言
落合正勝氏、出石尚三氏、中島渉氏の知性を漂わせる感じのファッション指南と比べると、うんちくや理屈がちょっと弱いです。
ベンツっていうのはご存じの通り「切り込み」の意味で、後ろに一本切り込みがある背広を「センターベント」、両脇に切り込みのある背広を「サイドベンツ」と呼ぶ。サイドベンツの背広っていうのは、そもそも乗馬用に使われていたもので、切り込みが二本入っているだけに、センターベントより動きやすい。デザイン的にも、いかにも直立不動な感じがするセンターベントに比べて、活動的なイメージを与えるんだ。
ノーベント>センターベント>サイドベンツの順に格式が高くなるので、サイドベンツが一番活動的で遊び服のイメージが強い、という結論は正しいのですが、その途中の記述が正確ではないですね。ベントに関しては諸説ありますが、一般に、センターベントが乗馬用でサイドベンツは軍刀用として生まれたディテールと言われています。センターベントは馬に跨るからセンターが割れていると乗りやすく(サドルの左右に裾が流れるから見た目的にも美しい)、サイドベンツはサイドに切り込みが入っているから、利き腕がどちらであっても、剣を帯刀しやすいのですね。業界用語では、センターベントを「馬乗り」、サイドベンツを「剣吊り」と呼ぶこともあるようです。
うんちくを語りだすとイマイチなドン小西氏なのですが、ファッションチェックを語りだすと、途端に生き生きとしてきます。特に2章の「初公開!ドン小西はファッションチェックでここを見る」
が面白いですよ。
1 スーツの色
2 ボリューム
3 襟の形
4 ウエストの位置
5 Vゾーン~ネクタイ
6 Vゾーン~Yシャツ
ドン小西氏はこの6点を見ているようですが、どことなく変、バランスが悪い、ぱっとしないなどの抽象的な言葉で逃げるのではなく、色、素材、形、ディテールについて、それらがどのような痛いイメージを演出しているのか。ファッションチェックを通し、具体的に語っているのです。
あたしの統計によると、実際にクレリックシャツは、「できる都会派な自分」に酔っている、ナルシストが着ていることが多い。一方、誰が見ても仕事がデキない人が着る分には、Vゾーンに変化を持たせられる便利なアイテムだと思うよ。
ゲイナー君のことかーっ!と、お約束として突っ込んでおきますが、こんな感じで、ドン小西氏の独断と偏見がふんだんに盛り込まれていて素敵です。ファッション指南本は、ルールと客観でファッションを語りますが、ドン小西氏は感性と主観で語ります。エンタメ性を多分に含みながらも、時折、当たっているのが読んでいて楽しいのですが、その本領が発揮されているのが、第三章の「平成おやじファッション図鑑」でしょうか。
1 アイ爺小僧
2 ディーダブおやじ
3 ズボラー
4 シュナウ爺
5 コメンテーターおやじ
6 ポストちょいワル
7 マオラー
8 カレセンもどき
9 イタ爺
10 平成襟立て族
11 森じじい
アイ爺といったオヤジギャグから、最近話題の森ガールに対応させた森じじいまで、くだらないネタを交えながら、幅広く、世のオヤジファッションを斬っております。この章は終始毒舌で、ドン小西節が一番出ていて笑えます。
ただし、この手のおじさんはピュアだけに、地球への思いから、やがて神の存在まで考えてしまうパターンもある。思い込みもはげしいだろ?新興宗教にひっかかりやすいタイプでもあるんだよね。実際、森じじいには、パワーストーンやパワースポットなんかに詳しい人が多いんじゃないかね。そのうち、地球を飛び越えて、
見えない精神世界の信者になってしまわないように、お気をつけて。
エコファッションからなぜかスピリチュアルの話に飛躍し、地球まで飛び越えさせられた森じじいが不憫すぎる(笑)あと、マオラーやカレセンもどきについても吹きました。
「マオラーの人は、パーティーとかで、同好の士を見つけたら、なるべく距離を取って、遠くにいた方がいいと思うよ。」「ちょいワルとカレセンは、お互い悪口を言い合っているけど、右翼と左翼みたいなもんでさ。表裏一体だったりする」
実に、楽しそうに毒を吐いております。しかし、それだけではないのがドン小西氏。中には鋭い指摘もあります。
でも、ポリのワイシャツって、真っ白なんだけど、蛍光灯みたいなヘンな白さで、かえって汚れが目立つ。だから、すぐわかっちゃうんだよ。しかも、シワがまったく寄らないのもミョー。いいワイシャツっていうのは、シワの風合いも含めていいワイシャツなんだから。このシワゼロのワイシャツがVゾーンで眩しいくらい浮いて、そのコントラストで、ティーダブのズボンのくたびれた感じが、さらに増長する。これがティーダブおやじの、典型的パターンだな。
ポリエステルの何が悪いの?どこが変に見えるの?こう問われても、普通の人は、安っぽい、どことなく変に見える、くらいしか言えないと思いますが、きとんと、言葉で説明しているあたり、やはり、プロですね。ティーダブ(TW)とはポリエステル混のウールのことです。
ポリエステルはシワになりにくい素材ですが、一度、シワになると取れにくい素材でもあります。だから、長年愛用していると、どうしても細かいシワが増えていき、くたびれた感じになるのですね。ドン小西氏は、そのくたびれ感とポリのワイシャツのキレイさが不自然なコントラストを生んでいる、そこが変、そこがダサい、と指摘しているのです。言われてみれば納得です。
本書はファッション指南本という形を取っていますが、ハウツーが語れているページよりファッションチェックのページの方が圧倒的に面白いです。そのファッションチェックのダメ出しを読んで、自分のファッションを省みる。それが、本書の楽しみ方でしょうか。オジサン向けに書かれた本ですが、毒舌のファッションチェックが好きな方なら、
どなたでも楽しめる一冊だと思います。ドン小西氏が、なぜ、空気を読まない服装をしているのかも本書を読めばわかりますよ。

コメント
コメント一覧 (3件)
ドン小西さんって反面教師なんだね☆
だからあんな格好してるんだ!?
他人の醜態を語る人間はその大半は自身の経験から来ているようですね~
ドン小西さんって新興宗教ではないけれどマルチとか失敗したり巨額の借金を作ったりしてましたよね~
daleさんは普段どのような格好をされているんですか?
>燕さんへ
経験から語る人は説得力が違いますよね。
>さくらさんへ
地味目であまりぱっとしない服装ですよ^^;