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「かわいい」の帝国 古賀令子 青土社 2009-06-25 |
ピンク地に白の水玉。そして黒のリボン。小悪魔系ショーツを思わせる表紙のデザインで、レジに持っていくのにちょっと抵抗があったのですが、本書『「かわいい」の帝国』は、
日本が世界に誇る「かわいい」を「ファッション史」という視点から紐解く、アカデミック寄りの一冊です。無駄に「かわいい」表紙に騙されてはいけません(笑)
GIGAZINEのインタビューで小悪魔agehaの編集長が「世の中には「かわいい」か「かわいくない」の2つしか無い」と述べていましたが、その「かわいい」の源流をたどりたい方は、読んでみると面白いと思いますよ。内容は硬派です。
<目次>
1 「かわいい」って何?
2 少女文化から若者文化へ
3 「かわいい」文化の台頭
4 「原宿系」と渋谷ギャル
5 「ロリータ・ファッション」と「ゴスロリ」
6 雑誌の作りだす「かわいい」イメージ
7 「かわいい」メンズ
8 「かわいい」モードの文化
9 ふたたび、「かわいい」とは何か?
戦前の少女文化からCawaii!!の休刊まで、日本のファッション史から、
「かわいい」に関することだけを切り抜き、コンパクトにまとめられています。四方田犬彦氏の『「かわいい」論
せっかくなので、「かわいい」の変遷について、本書から私なりに読み解き、
ちょっとまとめてみました。
【戦前】清く正しく美しくを理想とする「少女文化」
「かわいい」というより「愛らしい」という概念。
【戦後~60年代】自由と消費を謳歌する「若者文化」
海外から「キュート」を輸入。オードリー・ヘプバーン、ツイッギー、
クレージュ、マリークワントなど。
【70年代】「かわいいカルチャーの台頭」アンノン族やハローキティ
「かわいコちゃん」という言葉が流行る。ニュアンス的に
は「かわいい」より「チャーミング」が近い?
【80年代前半】ぶりっ子とニュートラ
「チャーミング」が過剰になり、男性の目を強く意識
した「ぶりっ子(モテ志向)」へ。
【80年代後半】オリーブ少女とDCブーム(ピンクハウスやMILK)
おそらく、モテ志向なぶりっ子のカウンターとして登場したのが、
自分志向なオリーブ少女。そのオリーブ少女によって現在の「かわいい」の原型が確立。メルヘンチック、ロマンティク、ボーイッシュ、キッチュ、ミスマッチ、ロリータあたり(これらは男性にあまりうけないと思う)も「かわいい」の概念に組み込まれる。
【90年代前半】CUTiEが広げた原宿的「かわいい」
多種多様な要素(テイストやカルチャー)を複雑にミックスするのが原宿系(ストリート系)。その要素、各々が「かわいい」というよりも、あくまで、要素を掛けあわせる感覚、言い換えたら、要素を引き寄せる中心にあるものが「かわいい」。「かわいい」が言葉で説明できない感覚的なものへ。
【90年代後半】ギャルと共感
「かわいい」は主観的で感覚的なものだけど、あくまで、同性(仲間)に共感される価値観が「かわいい」。「かわいい」がプリクラのような、コミュニケーションツールになっていて、「かわいい」を通じてギャルは繋がっている。挨拶のごとく「かわいい」という言葉がポンポン出てくるようになり、身の回りのあらゆるものが「かわいい」ものにされていく。
【00年代前半】「かわいい」的文脈で「ゴスロリ」が記号化
「かわいい」的文脈で「ゴスロリ」まで記号化されたことにより(かわいい=ゴスロリ)、ゴスロリ系を構成する要素、例えば、スカル、十字架、薔薇のような、一見、「かわいい」とは縁がなさそうなものも「かわいい」化。その結果、ゴスロリを構成する要素が、単なる「かわいい」ファッションのモチーフとして一般に広がるようになり、ゴスロリファンVSにわかファンが激突するように。
【00年代中盤】CanCam的「かわいい」は客観的
「めちゃモテ=かわいい」が基本。男性女性問わずモテる要素こそ「かわいい」。言い換えれば、万人に理解されてこそ、他者に評価されてこそ「かわいい」。幸福入手の条件でもあり、「かわいい」ことは「ハッピー」なことでもある。
【00年代後半】大人にも広がる「かわいい」
大人にも「かわいい」が定着。大人向けの女性誌にも「女子」や「かわいい」という言葉が頻出。話題となる。そして、「かわいい」は東京カワイイ★TV、カワイイ大使、東京ガールズコレクションなどを通し、世界にも輸出。若い女の子独自の価値観であったはずの「かわいい」。それが大人たちに侵略、利用され、希薄化が始まった?
その一方で、「かわいい」が一般化されてきたので、「デコ」や「盛り」を用いて、理解が難しいほど過剰に「かわいい」を演出することで(小悪魔ageha系)、「かわいい」という特別な感覚を若い女性の手に戻そうとする動きも。希薄化を恐れた「かわいい」の濃縮?
こうしてまとめてみますと、「かわいい」の流れみたいなものが見えてきます。80年代前半までは、世界中からファッションとともに「かわいい」的なものも輸入しながら、日本独自の「かわいい」を少しずつ形成していき、それが日の目を見たのが、80年代後半の自分志向なオリーブ少女。そして、女の子自身の個人主義的価値観である「かわいい」が、共感によって繋がり、「かわいい」の世界観が加速的に膨らんでいく。あらゆるものが「かわいい」化(モチーフ化)され、私たちだけがわかる特別な「かわいい」が皆にもわかる「かわいい」になっていく。結果、「かわいい」は、大人や男性にも広がっていき、大人社会にも組みこまれ、消費され、利用され、輸出され、今に至ると。
日本の若い女の子が作り上げてきた「かわいい」帝国。このまま海外も侵略し、世界中を「かわいい」で埋め尽くすのか。それとも、形骸化し、崩壊してしまうのか。どうなっていくのでしょうね。トレンドは、若い女性から、大人の女性、若い男性、大人の男性、年配へと広がっていきます。「かわいい」もこれと同じ広がり方をしていると思いませんか?だとしたら、ファッションは、一度スポットが当たったら、その言葉すら喰い尽くしますので、「かわいい」帝国に暗黒時代がやってくるかもしれませんが、「かわいい」の持つポジティブなパワーを考えると、それさえも跳ね除けてしまう気もします。結局のところ、
どうなっていくかは、男性の私にはまったく想像がつきません(笑)

コメント
コメント一覧 (5件)
単なるスィーツ(笑)洗脳による帝国でしょう
世界に羽ばたいても中国、韓国が限界で直ぐ廃れるのは目に見えてますね
かわいい。ただし二次元に限る
これが正解
agehaはかわいくない
もうkawaiiって単語自体は世界中に飛び火してますよね
分かりやすいのが歌手のGwen Stefaniなんかは露骨に日本のkawaii好きというか
まぁ、kawaiiブーム自体がどうなるかは10年20年経ってみないとわかりませんね・・
「この国はファンシーとヤンキーが9割」てな言葉もあります。次はヤンキー(オラオラ)が海外へ飛び火?
>アンソニーさんへ
キャラクターもの以外のかわいいは飽きられるかもしれませんね。
>もうkawaiiって単語自体は世界中に飛び火してますよね
もう商売のネタになってますもんね~。
>unsonyさんへ
ヤンキー文化もかわいいみたいに注目を集め、
輸出されるのは十分考えられそうですね!