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ヨウジファンは必読『たかが服、されど服 -ヨウジヤマモト論』

たかが服、されど服 -ヨウジヤマモト論 たかが服、されど服 -ヨウジヤマモト論

集英社 2010-03-05
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ヨウジヤマモトが19年ぶりに東京でメンズコレクションを開催することが決まったようです。

2009年10月に経営破綻し、これからは旧ヨウジ、新ヨウジと語られていくことになるのでしょうが、そんな旧ヨウジの黄金期(90年代)を中心に取り上げ(ギャルソンとの6・1 THE MENにも言及)、哲学からそのクリエーションを読み解いていくのが本書『たかが服、されど服 -ヨウジヤマモト論』です。


 著者は鷲田清一氏。哲学者です。『モードの迷宮
ちぐはぐな身体―ファッションって何?

てつがくを着て、まちを歩こう―ファッション考現学
』などファッション関係の著作も多く、
モード誌にもよく寄稿されているので、皆さんご存知ですよね。
本の題名を見れば予想がつくと思いますが、身体論からファッションに
アプローチしています。『ちぐはぐな身体 ―ファッションって何?』が読みやすいので、それに目を通してから本書を読むと理解が深まるはず。






<目次>


過去、女、空しさ


モードあるいは過去へのまなざし


女性的なるもの、あるいは埋められた隔たり


自由、あるいは空しさ


 2002年の『TALKING TO MYSELF BY YOHJI YAMAMOTO』に加筆修正を加えた
のが本書のようです。見応えのある118点の写真、大きな文字と余白、
そして全部で140ページ。正直に言うと、すぐ読み終わります(笑)
これで2,500円はちょっと高いなぁと思いましたが、その分、写真も文章も濃いので、
読み応えはあります。さらっと読むのではなく、何回も噛み締めるように、
考えに考え読んでいくと、十分満足できますよ(笑)



 内容の方は、哲学者の言葉を引きながら、時間軸、性、ユニバーサル、
非風(崩す・外す・ずらす美学)など、さまざまな角度からアプローチしています。
ご自身で読み解いて欲しいので、このあたりのネタバレは避けますが、
1点だけ、ヨウジの服に袖を通す男の箇所だけ抜粋してみます。




傷つきやすいのになんかふてくされていて、涙もろいのにどこか
ふてぶてしくて、繊細なのにふるまいががさつで、すぐ夢中に
なるのにいいかげんで、不器用なのにすばしこくて、へんにきまじめ
なのにどこかいかがわしい、包まれたいのにはめは外したい・・・・。
パスカルの言葉をまねて、男は常に分裂し、自分自身に反対している
と言いたいところだ。


 オレのことかーっ!と魂の叫びがたくさん聞こえてきましたが、
このような、ちぐはぐな男を黒くてでかい服ですっぽり包み、
1人の「漢」に仕立て上げる。それがヨウジだと私は思っています。



 だからといって、ヨウジの服はコンプレックスを隠すものではありません。
エレガントさでピカピカ光り他人の目を眩ませる。
モード感を纏い、時代の流れと共に他人の目をうまくすり抜けて行く。
そういう類のものではありません。ヨウジの服を見ればわかりますが、
えぐい和柄や無骨なミリタリーを多用していることからもわかるように、
目を引きますよね。毒(ヨウジ)を持って毒(ちぐはぐな自分)を制す、
マイナスとマイナスをかけてプラスにする、そういうアグレッシブな
スタイルこそヨウジの服だと思うのです。逃げや媚びはないのです。
だからパワーがある。着ると漲る。全身ヨウジで固めると漢になる。
ただ、毒というか、本書の言葉を用いると、「非風」を含む服なので、
慣れないとピンポイント使いが難しい服なのかなと。
なので、ヨウジに興味がある方は、是非、一度、全身ヨウジで固めて
欲しいと思います(笑)


 余談ですが。ヨウジの服はギリギリまで崩れているので
(それもあらゆる方向に)、それ以上崩さないよう、「普通」に着る、力量のない私は全身ヨウジで固めるわけですけど、それをやっていると、「普通の服」の崩し方がわからなくなるんですね。これって私だけ?私にセンスはないですが、いわゆる「崩し」が苦手なのは(自覚してます)、それが多少は影響しているのかもしれません(笑)





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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (8件)

  • ヨウジの服はスタイルが悪かったり背が低かったり顔が悪かったりなどのコンプレックスや劣等感を持った人が屁理屈こねて無理矢理有りもしないアイデンティティーを持っているように見せかけて着ている虚構的なブランドにしか思えなせん。マイナスとマイナスをかけてもプラスになって無いと思います。睨みつけるような卑屈な表情でモデルがショーで歩き、暗いヴィジュアルで広告を出すヨウジヤマモトは最初から気持ち悪かったです。

  • ようやく出たんですね。
    talking~ が絶版になったあとずいぶん待つことになりましたが絶対買います

  • ↑一番上のコメントの人。
    いやー、仰るとおり。皮肉抜きで。
    ギャルソンやヨウジは、作り手が考えてもいないような高度に哲学的なことを、着手が勝手に夢想してくれるところが面白いよね。
    言葉遊びというか、お約束というか、プロレス的な部分が多分にある。
    でもね、「虚構的なブランド」というのはどうかな?
    ヨウジは、テーラードも、ミリタリーやワークなどのジャンルもしっかり理解している数少ないメゾンだったと思うよ(かつてのギャルソンや、マルジェラ、マックィーン、トムフォードもこれにあたる。)。
    格闘技的に言うと、シュートができるブランドだったということ。
    それは、ビスポークや、ヴィンテージも着る人ならわかると思う。
    ウソ・はったりも多いけど、本物や本気も多いブランドだと思う。

  • 「字、デカッ!」っていうのが一番の感想です(笑)写真も多くて読みやすかったです!
    …が、論というには、内容的にもちょっと薄いかと…。専ら、そっちの方で期待してたんで、ちょっと肩透かしを食らいました。個人的にはファン以外に全くオススメ出来ないですが(笑)、ファングッズとしては、まあまあ楽しめました!

  • すごいわかりますね。
    完成されちゃうんですよね。惚れたものだから、どこから崩したらいいのかわからない。崩しようがない。
    恋は盲目だし、服も同じ事が言えるのかもわかりません。
    一つのブランドに拘ると、普遍的な目を持てなくなる。

  • >ちぐはぐな男を黒くてでかい服ですっぽり包み、 1人の「漢」に仕立て上げる。
    すごくわかります。
    ヨウジの服って、ある意味での加速装置だと思うんです。
    不器用さに悩む人間が解放されるには、不器用さを極めるしかない、という言葉を彷彿とさせます。

  • こんな本が出てたなんて…
    買いに行きます(^^)
    原点回帰の意も込められているであろう東京でのショーも楽しみです。

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