![]() |
モードとエロスと資本 (集英社新書) 中野 香織 集英社 2010-05-14 |
「モード」「エロス」「資本」となんだか小難しそうな言葉が並んでいる本書『
モードとエロスと資本
』。
著者も『性とスーツ』や『モードの方程式』でおなじみの中野香織氏なので、
どんなお堅い論考が展開されるのかな?と思って読み進めますと、
「モテ(性)」を中心にモードを読み解いたキャッチーなエッセイですね。
鈴木由加里氏の『「モテ」の構造』と被る話もあるのですが、そこは服飾史家ですので、きちんとモードに踏み込んでファッションの話にしております。ファッション好きにとっては、ほとんど、既出の話ですが、2000年から2010年までの10年間のトレンドが簡単にまとめられていますので、手軽にモードの流れを俯瞰したい人や頭の整理をしたい人にはオススメの本です。読みやすく短いので。タイトルに騙されてはいけませんよ(笑)タイトルはヴェルナー・ゾンバルトの『恋愛と贅沢と資本主義』が元ネタなのでしょうね。
<目次>
序章 リセッショニスタの復活
第一章 倫理を着こなすリセッショニスタ
第二章 「失わない」ための服装術
第三章 暴走資本主義が愛を蹴散らし、モードを殺す
第四章 現実を超えていくための「マンガ」と「エロい」
第五章 ラグジュアリーと激安品のはざまで
第1章は、富の誇示から良心の誇示へとラグジュアリーの
基準が変わったというお話です。エコロジカル、エシカル、
リセッショニスタ、毛皮問題など、00年代後半くらいから
よく聞くようになったキーワードを取り上げ、その価値観の
変遷を追っています。
第2章は「バンクオブイングランドの服装指南」を取り上げ、
企業が率先して服装指南をする流れがありますよというお話。
80年代の成功する服装と00年代の成功する服装は違うという点にも言及。
第3章はモテとモード。性とモードのうんちくを交えながら、
女性の肉食化、男性の草食化というトレンディな話を展開しております。
ジェンダーとモードは著者の得意とする分野だけに面白いです。
本屋で立ち読みするならこの章ですよ(笑)
男性も女性も異性の目より同性の目を意識しており、
モードがモテから外れたという指摘がなかなか興味深いです。
「このように美しく、繊細になっていく男は、称賛の対象になることはあるとしても、自身の装飾そのものが快楽であるような、マニアックな「服オタク」に見えてしまうと、女性が入り込む隙間など感じられなくなってくる」
と我ら服オタへの言及もありました。書籍で「服オタ」という
言葉を見たのは初めて。服オタの存在が認められた?歴史的
瞬間かもしれません(笑)
第4章は第3章の続きです。00年代に女性誌を賑わした漫画的要素を
含む「カワイイ」とSATC的世界観に強く影響を受けた「エロい」。
どちらも男ウケを目指しているようで、実は、男目線は不在ですよ
というお話です。漫画、コスプレ、SATC、トム様の過激広告にも
ページを割いて説明しています。エロ○○ファッションが流行ったのは2007年ですか。
「超進化系エロカッコスタイル」
には度肝を抜かれました、そう言えば(笑)
第5章はラグジュアリーブランドの凋落とファストファッション台頭のお話。
ブランドの支配力が落ち、それと連動して、ブランドと蜜月関係を続けていたファッション誌の影響力も薄まり、ストリートスナップブームがやってきたとストスナにも触れています。ここでストスナ人気が組み込まれるのだなと。
以上。簡単に本書の内容をかいつまんでみましたが、
ラグジュアリーの基準が変わる、男性の草食化(女性の肉食化)、
ストスナの人気。全部繋がっているのが面白いですよね。
それがファッションとして現れる。モードは時代を映す鏡と言われますが、識者に本書のような感じで説明されると、いろいろと頭の中で繋がっていき、読んでいてスッキリしますので、ファッション好きの方には特にオススメしておきます。

コメント
コメント一覧 (2件)
変態広告ウザス
あらうちの学部の先生だ