故落合氏の『男の服装 お洒落の基本』と
『男の服装お洒落の定番』の
廉価本みたいな本が出版されました。
それが『着こなしのディテール 成功する人だけが知っている!』と『モノ選びのディテール 成功する人だけが知っている!
』です。
『お洒落の基本』『お洒落の定番』をベースに、
雑誌に寄稿されたコラムを加え、各々のテーマに合うよう編集した本です。
「成功する人だけが」というのは釣りです。そんな軽薄なことには
一切触れていません。いつも通り、男の服装術をクラシックの視点から
指南しております。安心の落合節です(笑)
スーツの傑作本『[新版]男の服装術 スーツの着こなしから靴の手入れまで』や
クラシコイタリアを日本に紹介したことで有名な落合氏。「お洒落は学習である」と
いうのをモットーにしておられるので、ご自身がテーラーや経験を通して
学んだことを中心に書かれているので説得力があります。
具体的な数値を出し、あやふやにせず良い悪いを言い切りますので、
そこが賛否両論なのでしょうが、私は好きです。では、この2冊の中身を
簡単に紹介します。今回は落合語録を中心に見て行きます。
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着こなしのディテール 成功する人だけが知っている! 落合正勝 世界文化社 2010-10-21 |
クラシックなスーツは、自分との相性を探り、その相性を育てて
いく姿勢が必要である。自分に似合うよう、いろいろ試みる。
20代のうちにその習慣が身につくと、30代に入ってからの
スーツ選びが的確になる。むつかしいデザイナースーツに
挑戦しやすくなる
デザイナーの作るスーツは着こなしの難易度が高いのです。クラシックの何たるか、
つまり、モノサシがないと、デザイナーがそのスーツに込める思想が理解できません。
理解できないとコレクションの模倣か自己流解釈で着崩すしかないのです。
だから「ブランドに着られる」という現象が起こります。
落合氏は本書で度々デザイナーズを引き合いに出し、
クラシックの重要性を語ります。10年以上前に書かれたモノなので、
出てくるブランドは古いですけどね・・・。
現代のジャケットは、従って①構築感が段階的に細かく用意されている
②ネクタイの有無を追わず装うことができる(最近はネクタイなしのコーディネートに
移行しつつある)③色彩に制限がないという、装う側には3つの奔放な自由が存在し、
それだけ自分がどんなジャケットが似合うのかを熟知しなければならず、
イタリア人のように肩があれば別だが、肩がない人が、パットなしの難しい
ジャケットを身につけたらどうなるかを十分に考える必要がある。
現在アンコンが流行ってますよね。天国で落合氏がどう思っているのか
気になるところです。肩がない人がパットなしのジャケットを着たらどうなるか。
細い人だとマッチ棒になるということです。肩のラインがしっかりしていないと
顔の大きさも強調されます。私はなで肩なのでパットなしはまず着ません。
デザイナーたちのジャケットは、クラシックラインを除き、
サイズがきっちり合っていなくとも、それなりに身につけられる。
ニューヨークには、ダブダブのジャケットを身につけている
人はたくさんいる。デザイナーたちの服はリペアしない方が美しい。
一度デザインされたモノは、どんなモノにせよ、たとえ些細な
サイズの変更にしろ、デザインの変更につながる。
デザインの変更は、どこかで必ず調和を乱す。
肩をいじり、ウエストを抉ると、もう、完全にジャケットのバランスが
崩れてしまいます。着丈ですらポケットの位置との兼ね合いが気になりますし。
素人が下手にリフォームするとデザイナーの意図をブチ壊してしまうと
いう危険性があるので、体に合わないデザイナーズは無理して着ない方が
いいのかもしれません。諦めが肝心です。現行とはバランスの取り方が大きく異なる
古着はリフォームしてもいいと思います。手を加えないと古臭いだけです。
こんな感じで、クラシックに興味がない人も考えさせられる問題提議が多いので、
興味のある方はお読みください。もちろん、落合節の服装指南もバッチリあります。
ただ、服装指南という点では、『モノ選びのディテール』の方が参考になると思います。
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モノ選びのディテール 成功する人だけが知っている! 落合正勝 世界文化社 2010-10-21 |
バルカまで、肩の縫い目から27~28センチという長さで仕立てるテーラーがいる。
英国の伝統では25センチで、なぜそこまでという気もするのだが、
これは彼らがポケットの位置よりもポケットのチーフの位置を
重要視しているだろうためで、彼らの考えるスーツスタイルには、
あらかじめチーフが仕込まれていて、2~3センチポケットを下げることにより、
外見で大切な左胸部を引締めることと、そこに遊びを感じさせることを目的に
しているのだ。
やたらと細かい数字が具体的に出てきておりますが、この記述で数字には意味が込められていることがわかります。クラシックなスーツのバランスを知った上で、お手持ちのジャケットをよく観察すると、今まで見えてこなかった何かが見えてくるかもしれませんよ。
ちなみに、クラシックなジャケットの肩幅の目安は43cmだそうです。
反りはヒール(かかと)の高さとも関係する。女性のハイヒールも、
ヒールの高さが勘案され、反りの数値が決定される。
男の靴のヒールは、グッドイヤーウェルト式の場合、
20~30ミリが一般的だ。僕の靴では、ステファノベーメルが
30ミリ、ジンターラが28ミリ、エドワードグリーンが、22ミリだ。
僕は、ヒールが低い方が歩きやすい。22~25ミリ程度が好きだ。
フェラガモなどのマッケイ式はほぼ20ミリが多い。重厚さではなく、
見た目の美を追求しているからだ。20~30ミリという数値に対して、
反りは、12~13ミリがベストだ。すべての新しい靴は、
初めは、その程度反り上がっている。
反りを理想値(25ミリ以下)におさめるために「シューキーパーを
突っ込みましょう」というだけの話に、ここまで熱く語るのが落合氏なのです(笑)
靴には並々ならぬこだわりがあるようで、氏のどの本を読んでも力を入れ
取り上げております。先が尖った靴が反り上がっている状態、
通称「魔法使いの靴」とスリッポンタイプでサイドにシャーリングが
入っている合成皮革の靴、通称「餃子靴」。この2つはとにかくよくdisられます。
避けた方が無難です。
これはいったいどういうことなのだろう。
サラリーマンのほぼ年収を身につけて歩いているのだ。
自己顕示欲と自己満足がほっつき歩いているようなものである。
自分の存在はいったいどこにあるのだろう。<中略>
結局、なぜブランドをこれほどコレクションしたかを今になって
考えてみると、男の玩具には、車、オーディオ、カメラなど
いろいろあるが、その中でもっとも自己顕示しにくいオモチャが
スーツなのだということに気がついた。
「頭からつま先まで全身600万円の男」では自分を自虐的に評しておられます。
「67万円男」なんて比較対象になりません。圧倒的な服オタ力です(笑)
入手できるプレタポルテで一番高いから購入してみたと正直に告白していますし、
フル装備した服装でも板についていなかったから、銀座のお店で扱いが
低かったと苦い思い出も語っております。厳格で怖いイメージのある落合氏も
我々服好きと同じミーハーな一面があるのだと読んでいて安心しました(笑)
一般人には、落合氏のようにブリオーニだのフルオーダーだのばんばん買えませんが、
服好きの葛藤や試行錯誤の歴史が綴られておりますので、6章の「男のモノの絶対ルール」は
服好きなら共感できる箇所が多いのではないでしょうか。
以上。簡単に紹介してみました。本書が面白かったら『お洒落の基本』と
『お洒落の定番』もオススメです。ただ、1冊約2,000円しますので、
今回紹介した2冊を読んでからでも遅くはないと思います。
こちらは2冊買っても2,000円なので。


コメント
コメント一覧 (4件)
サイズ直しについてふと思った事が。
袖の長さが丁度良いジャケットに出会うのが難しいので直す事があるのですが、袖の長さを直すとデザイナーの意図を壊してしまうのでしょうか?
そうだとすると今までずいぶんともったいない事をしたなぁ……と思いました。
落合さんの本は、随分、読んでないです。でも、あれで勉強しました。今時の若い人は読んでいるのかな。今回、紹介してもらった2冊は読んでみますね。
私は170cmで標準体型なのですが肩幅が広くいかり肩なので肩パットが厚いとバランスが悪くなるのでアンコンジャケットはありがたいです。
最近の若い人は日本人でもなで肩は少なくなってると思いますよ。
>懐中時計さんへ
袖丈くらいは直しても問題ないと思います。
>masatoさんへ
服によほど興味がないと若い人は読まないと思います^^;
>hairさんへ
最近の若い人はなで肩が少なくなっているのですか?草食男子のイメージから、なで肩が増えた気がしてました(笑)
おっしゃるとおり、その人の肩でパッドなどの
バランスは決めればいいと思います。