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女性誌の変遷から見た「スイーツ(笑)」の生き方『私に萌える女たち』

私に萌える女たち 私に萌える女たち
米澤 泉

講談社 2010-09-30
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 自身をファッション誌オタクと称する甲南女子大学専任講師、
米澤泉氏が過去40年間の女性誌の分析を元に、その欲望の変貌を
考察しているのが本書『私に萌える女たち』です。


 女性誌と言ってもさまざまなクラスター、例えば、モード、ストリート、
ギャルなどありますけど、本書の守備範囲を皆さんにもわかるように伝えますと、
ネット用語で言うところの「スイーツ(笑)」ですね。
女性誌のコピーを鵜呑みにし、メディアに躍らされている層が主役ですので、
ネットで祭り上げられそうな香ばしいネタが多数収録されております。




「アンアンから始まった日本のファッション誌は40年の歳月を経て、
ついにブログとフロクに辿りついてしまったのだ。ブログかフロクか。
ブログに対抗するには、フロクの力を借りるしかないのであろうか」



「母になることで、よりいっそう美しく、魅力的になれるのだ。
もはや、母であることは制約ではない。むしろ、子供は私をよりいっそう美しく、
魅力的にしてくれる人生最強の子道具である」


「今や不惑とは、一生『姫』で生きていく」ことにもう惑わないという意味なのである」


こんな感じで著者は香ばしいネタに対し
だれうま
な突っ込みで切り込んでおりますが、
本書に登場する女性たちには良くも悪くも「私萌え」という共通点がありまして、
本書はそれを5つの章に分けて紹介しております。





<目次>


序章 私萌えの時代


第1章 「何を着るか」と「どう生きるか」


第2章 上昇婚より自分婚


第3章 二五年後の雇用機会均等法


第4章 キャリアと子道具


第5章 一生、「姫で生きていく」


終章 私萌えとは何か


 第1章はざっくりとしたファッション誌の変遷、
第2章はJJを中心とした赤文字雑誌(女子大生と腰かけOL)について、
第3章はカリスマ主婦モデル黒田知永子さんとアラサー以降の雑誌(イケダンとか言っている層)、
第4章は出産とビューティー革命(子供は私の魅力を引きたてる小道具)、
第5章は美魔女とコスメ雑誌(年齢不詳の女たち)がまとめられております。
私はアラサー以降の女性誌は読まないのでかなり勉強になりました。


 本書を読めば、女性たちが結婚、仕事、出産、美貌とその全てを諦めず、
何事も貪欲に求めるようになってきていることがよくわかるのですが、
そのあたりは本書を読んで欲しいとして、本書のタイトル「私萌え」とは何なのか。
それに触れておこうと思います。皆さんも気になりますよね?






つまり、ファッションや化粧といった装いにおいて、自分が自分に
満足すること、うっとりすることが何よりも重要視されることになったのだ。
それはオタク用語の「萌え」状態に酷似している。オタクはフィギュアに萌え、
アニメのキャラクターに萌えるが、コスメフリークをはじめとする女性たちは、
自分に萌え、私というキャラクターに萌える。


 著者は一生お姫様を目指す女性たちをバービー人形と表現し、
ファッション誌はどのキャラを目指すかのコスプレにすぎないとバッサリ。
アニメやゲームの登場人物からキャラクターの記号を読み取って萌えているのがオタク。
ファッション誌のモデルからキャラクターの記号を読み取り、
それに扮した自分に萌えているのがスイーツ(笑)。
どちらも似たようなものじゃない?ということだと思います。


 著者は「21世紀の女たちはもっともっと私に萌えてもかまわないのではないか」と
本書を締めくくっておりますが、私は「萌え」より「幼稚化」というキーワードの方が
しっくりきました。いつまでも「かわいい」と未成熟な魅力を好み、
「私が主役で何もかも欲しい」というのは駄々をこねている子供のようです。
ただ、「幼稚化する女たち」とタイトルをつけるとものすごい反発が予想されますし、
「肉食女子」や「脱良妻賢母」というキーワードだとありがちなので、
「萌え」という単語を使ったんじゃないかなと。


 世間の目を気にせずいつまでも「かわいい」に凝る。誰かのため何かのために生きるという発想がない(子道具には戦慄しました)。これはたくましくなっただけなのか。幼稚化なのか。それとも他に何かあるのか。それは読んだ人によって感想が違うと思いますので、興味がある方は本書をお読みください。そして女性たちの飽くなき欲望に圧倒されてください(笑)



<追記>


 萌えとは何か。かわいいとは何か。大人と子供の違いは何か。
というような壮大なテーマから本書を論じるには私はあまりにも浅学なので、
論を広げず本書の感想にとどめたのですが、「幼稚化」という言葉に
反応している方が多いので私の考えを追記しておきます。


 まず「萌え」というのは、そのキャラが有する「萌えポイント」や
「記号」の組み合わせに対する好意ですが、「私萌え」の女性たちは
私が装備した記号ではなく、私そのものへの好意、言い変えたらナルシシズムであり、
それは「萌え」とは違うのではないかと私は考えました。



 次に「かわいい」という未発達、未成熟、幼児性が強いとされる魅力を好む。それを身につける。自己中心的な価値観で、得ることばかりに目を向け、失われていくものから目を背ける(本書でも指摘されている点)。これらは成熟した大人ではなく、未成熟な子供を目指しているように私は感じました。逆行しているなと。


 なので、本書のキーワードは「萌え」ではなく、「大人化」の反対「幼稚化」ではないか、という考えに至ったわけです。それだけのことです。スイーツ(笑)を「幼稚化」と叩いてやるぜ!みたいな感じではないですよ。





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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (16件)

  • おもしろそうですね!
    「男子の草食化といわれているが女子も精神的に未熟になっているのでは?」
    と何かで読みました。
    男女がお互いに高めあっていけるといいですよね

  • そういった人種は女性に限らず男性だって一定数いるのでは。
    そこに目を向けず一部の女性を取り上げて「幼稚化」と言ったところで
    それはdaleさんのミソジニーを露呈するだけでなんの批判にもならない気がします。

  • なんとも手前勝手な生き物ですね…。
    こういう人種の女性には…、え~と、多少厳しく当たっても良いかなあとも思います…。
    そうですね…、だいたい、イスラエルのアラブ人に対するソレ程度の厳しさですかね…。

  • 「子供=自分を引き立てるたもの小道具」とは親の顔がみてみたいですね。
    人間、それも我が子を道具扱いする母親って何なんでしょうか。

  • 私に萌えている当事者の女、またそう言ったものが嫌いな人々双方にとって
    言いたかった事をまとめてくれている内容になっていそうですね
    読んでみようと思います

  • まあ、人それぞれ自由に生きる権利はありますからね^^
    人に迷惑かけていなければいいんじゃないですか(笑)
    しかし、何と言うか・・・肥えた豚ですね。

  • うーん、未成熟な魅力とか成熟した魅力とかってのは、誰が決めるもんなんですかね? 駄々云々のくだりは、すごくねじ曲がった表現に見えました。悪意ありきの読み方というか。
    モテ志向よりも自己満足のほうを尊ぶという点では、ファッションの捉え方が、男性(のファッション好き)のそれに近くなってきているとも理解できそうですね。

  • 年齢を経ても人生を楽しむことは大切だと思う
    しかし子供をアクセサリ感覚で捉えることはやってはいけない
    どこまでが許されてどこからが許されないのか
    その微妙な線引きができる人間が大人、できない人間が幼稚と呼ばれるのではないか

  • >おもしろそうですね!
    本書には、ありのままの女性を受け入れることができるのが今時の草食男子、
    受け入れられないのが中年の男性であり、それが熟年離婚の理由の一つで
    あると分析されておりました。今まで男性が女性を虐げてきた反動なのか。
    何らかの理由で男女の力関係が逆転しその差が開いたのか。
    理由はいろいろ考えられそうです。
    >deadendさんへ
    もう一度本文を読んでいただければわかると思うのですが、
    初めの方に、女性全体ではなく一部のスイーツ(笑)と呼ばれる層が
    本書の対象であると書いているのと、女性を批判しているわけではなく、
    本書を読む限り、著者が挙げる「萌え」より「幼稚化」の方が
    キーワードとして僕はしっくりくるという本書の感想を述べただけです。
    >コウタローさんへ
    本書に登場するような女性たちは一部だと信じたいところです。
    >「子供=自分を引き立てるたもの小道具」とは親の顔がみてみたいですね。
    良し悪しは置いておいて、そういう考え方をする女性がいるのかと。
    僕は衝撃的でした。
    >私に萌えている当事者の女、またそう言ったものが嫌いな人々双方にとって
    私萌え文化圏の著者ですが視点は中立だと読んでいて感じました。
    面白いので是非読んでみてください^^
    >strelokさんへ
    自分が主役。自分を大切にする。人生は自由だと思います。
    それ以上言うことは価値観の押しつけかなと。
    >うーん、未成熟な魅力とか成熟した魅力とかってのは
    「かわいい」の本質が説明される時に「幼児性」や「未発達」という言葉が
    よく使われるのですが、私は「未成熟」という言葉を選んだだけです。
    大人の女性が持つ魅力と少女が持つ魅力。子供向けのデザインと大人向けのデザイン。
    誰が決めるとかではなく、上手く言葉にできませんが両者は違うと思いませんか?
    駄々云々のくだりは本書を読んだ僕の感想ですが、
    本人としては女性を叩こうとかそんな悪意なんてないですよ^^;
    >年齢を経ても人生を楽しむことは大切だと思う
    誰かのため何かのために自身の欲望を抑えるのが大人ですが、
    年齢を経ても人生を楽しむことは大切だと僕も思います。
    要は線引きですよね。

  • >人生最強の子道具である
    惑わずにしろ、このコピーを考えた後の後付けの理屈っぽいですが、ショックですねw
    なんとなくブログとかで子供の画像を晒してる人を連想しましたよ

  • 人が楽しんでいるのに、茶々を入れたり揶揄したりすることこそ幼稚化のそしりを免れないのではないのでしょうか?
    幼稚の反対は高尚であることだと思いますが、高尚であることが生きる上でそんなに重要なのか非常に疑問です。
    幼稚であるように見えるのは、観測する側にも問題があるのでしょう。

  • >人が楽しんでいるのに
    何事も肯定的な意見と否定的な意見があり、否定的な意見を述べることが幼稚だと僕は思いません。本人に直接言うのは野暮だと思いますが、これはあくまで本書の感想ですよ(汗)
    それと高尚の反対は低俗でしょう。僕は大人の反対が幼稚だと考えます。
    何度も言いますが、女性を叩いたり皮肉を言う目的でこれを書いたわけではないのですが、「幼稚」という言葉に反応している方が多いので、後で私の考えを追記しておきます。

  • 納得です。「幼稚化」とはその通り。
    自分自身もいつまでも可愛いものが大好きですし、若く見られるのは嬉しいですもの。黒田知永子さんはファッションのお手本です。
    そんな未熟なアラフィフでも、子どものことにはめっぽう弱いもの。
    道具にする世代とは一線画してるつもりですよ。
    人からみればそう見えるのかもしれませんが。

  • 子道具とはショッキングな字面だが、
    なんのことはない、昔からこんな母親は結構いた。
    いわゆる教育ママのたぐいだ。
    お受験ママといっても、子供の将来を真剣に思ってのママが大多数だろうとは思う。
    だが、夫や自分の学歴職業の不満を、子供で取り戻そうと、
    子供をそのための道具扱い(あるいはトロフィー扱い)するママも、未だに少なからず存在する。
    だが、子供はいつまでも子供ではない。
    「かわいいママ」の子も、いずれ親を冷静に見る年齢になるだろう。
    『子道具』でも別にかまわないと思う。
    いずれすべて親自身に返ってくるのだから。

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