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パギャル消費 女子の7割が隠し持つ「ギャルマインド」研究 西井 美保子 日経BP社 2011-11-21 |
パギャルとは「中途ハンパ」の「パ」と「ギャル」から成る合成語で「中途半端なギャル」を意味する言葉。「パンピー(一般ピープル)」の「パ」も
かけているのかもしれませんが、「パンピー」にせよ「パギャル」にせよ
ギャルがギャルもどきをdisる時に主に使われていた言葉です。
ネットスラングで説明するなら「オタク」に対する「ヌルオタ」みたいなものです。
「パギャル」という言葉自体は昔からあり、日本語俗語辞書には
2006年の言葉として掲載されております。そこに目を付けたのが
電通の社内組織ギャルラボで、ファッション誌もギャルも細分化されてしまったので、
「パギャル」という言葉で新しく括り直し、
ファッションやライフスタイルではなくマインドから
若者の消費傾向を探ろうというのが本書『パギャル消費』です。
本書によると、ギャル人口は800万人以上にも達し、
女性の約7割がギャルであると説明されています。
ギャルは渋谷の一部に生息する特殊な人々ではなく、
あなたも私もギャルなのです!多数派なのです!とAKBの藤江れいなさんを帯に使い主張。
なんと言いますか、「ギャル」という言葉はネガティブなイメージが強かったのですが、
ポジティブな言葉として今後プッシュされていくのかもしれないなと
本書を読み終え感じました。
と、ここで話を終えるのもあれなので、本書の説明するギャルマインドとは何なのか。
せっかくなので少し見ていきたいと思います。
■ギャルマインドは3つの要素で構成されている
・心(ラブ)…相手に対する共感
・技(デコ)…かわいいを「盛る」傾向
・体(ガッツ)…ヤンキー(DQN)気質
ギャルラボでは「ラブ」「デコ」「ガッツ」それぞれ10項目ずつ、
計30項目のチェックリストを作成し、この条件の中で「ラブ」「デコ」「ガッツ」それぞれで4項目以上当てはまる人を
「真ギャル(真性のギャル)」、それぞれ1項目以上当てはまる人を
「パギャル(半端なギャル)」と定義しているようです。
これがまぁ誰にでも当てはまる項目が多く、例えば、
「本音トークが好き(ラブ)」「安い服をセンスよく見せる(デコ)」
「カラオケによく行く(ガッツ)」であなたも立派なパギャルです。
そりゃ7割がパギャルになるよなと(笑)それどころか
このチェックリストだと真ギャルに分類される方も多いと思います。
興味のある方は本書の21ページに載っていますので
チェックしてみてください。
■現在版ギャルの6分類
・一生ギャル(ギャル率79%)例:ViVi、ageha
・ミーハーギャル(ギャル率82%)例: CanCam JJ
・自己流ギャル(ギャル率68%)例:SPUR VOGUE
・節約キャリアギャル(ギャル率68%)例:nonno mina
・お嬢ギャル定番フォロワーギャル(ギャル率62%)例: AneCan 美人百花
・定番フォロワーギャル(ギャル率57%)例:MORE with
私が各クラスターを命名するなら、上からギャル、お姉系、モード系、
ガーリー系、エビちゃんOL残党、一般女性という感じでしょうか。
女性誌のほぼすべての領域が含まれており、それだけギャルマインドは広がりを
見せているということだと思いますが(外見でギャル・非ギャルの判断はできない)、
なんだかよくわからない分類だなという感想。
ギャルと原宿系が融合した「渋原系」というジャンルが2009年に登場したように、
zipperやcutie寄りのサブカルギャルもいるはずですし(本書では自己流ギャル枠に含まれいた)、
ViViより一つ上の世代のアラサーギャル枠(モード×ギャル)の
GLAMOROUSやGISELeがないのも違和感。定番フォロワーギャルより
よほどギャルとの親和性が高いと思うのですが・・・。
年収もチェックしますと、一生ギャル544万、ミーハーギャル594万、
自己流ギャル598万、節約キャリアギャル468万円、お嬢ギャル638万、
定番フォロワーギャル498万で全体的に高めなのとキャリア系が
一番年収が低いという不思議。サンプル数800でクラスター分析が
なされていますが、そのサンプリングに問題はなかったのか疑問です。
3章からのいまどきギャルの生態レポートは楽しく読めましたが、
1、2章の分析のコーナーが腑に落ちず、私のギャルのイメージから
乖離しておりました。私の認識が間違っているのかもしれませんが・・・。
■『ギャルとギャル男の文化人類学』から本当の「ギャルマインド」を知る
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ギャルとギャル男の文化人類学 (新潮新書) 荒井 悠介 新潮社 2009-10 |
・チャライ…性的な逸脱
・ツヨメ…社会的な逸脱
・オラオラ…道徳的な逸脱
この3つがギャル・ギャル男のマインドを知るうえで重要な要素と
『ギャルとギャル男の文化人類学』では取り上げられています。
『パギャルの消費』の三要素と似ていますが微妙に違います。
まず「チャライ」。「ブログで恋愛を語る」や「本音トーク」を『パギャルの消費』では
「共感」というキーワードで説明していますが、
『ギャルとギャル男の文化人類学』ではあれはチャライアピールであり、
話を盛ったり武勇伝や感動話に仕立て上げ注目を集めるためと解説。
次に「ツヨメ」。『パギャルの消費』ではかわいいから盛っている、
盛ることはセンスの良さをアピールすることだと説明していますが、
『ギャルとギャル男の文化人類学』では「目立つ」ことが何より重要で、
自堕落な感じすら評価につながるので目立つよう盛っているとのことです。
わかりやすいブランドのロゴものも汚らしいファッションも
「わかりやすいから(見るからに普通の人とは違い目立つ)」と
自覚的にやっているとは驚きました。
最後に「オラオラ」。ワルそうであること。強そうであること。
やばそうであること。要はアウトローですが、そういうグレーな
社会の作法に触れることによって将来のキャリアに役立つ
(リスクヘッジ)と考えているようです。『パギャル消費』ではヤンキー気質(祭り好き、
地元愛、仲間意識が強い)という捉え方でしたが、
『ギャルとギャル男の文化人類学』の不良っぽさはもう一段階
進んでいるように感じます。
簡単に3つの要素を紹介しましたが、要するに「ふつう」からの逸脱というのがギャル・ギャル男の価値観の根底にはあり、イベサーで成り上がりたい、社会で成功したいという強烈な目的意識があるようです。著者曰く「ギャルとは生き方の問題である」。
なぜギャルは共感で繋がり仲間を大切にするのか。
それはイベサーの納金や集客にダイレクトに響くから。
それを阻止するために「ナゴミ」と呼ばれる飲み会を
たびたび開いて情で縛り上げる。それが始まり。
なぜギャルは盛るのか。それは目立つから。
「目立つ=顔と名前が知れる=イベサーの出世に繋がる」からですね。
ファッションだけではなく「ヤケ」と「オワッツ」と呼ばれる
非常識で馬鹿げた目立つ行動をとるのも、
それが自分の武勇伝となり名刺代わりになるから。
なぜギャルはヤンキー気質なのか。ワルぶっていても実は優しい。ばかっぽく見えても実は高学歴。こういう二面性がギャルの
世界では高く評価されるから。普通から逸脱するのはイベサーに入るだけで十分。そこからさらに目立つために二面性を身に着けギャップアピールという作戦に出る。ここにも理由があるようです。
『パギャル消費』で腑に落ちなかった点が次々と納得させられる
『ギャルとギャル男の文化人類学』。2009年に出た本なので
それほど内容は古くはないと思います。著者もイベサーの「ive.」の代表だっただけあり、ギャル・ギャル男の分析や実態の話が
非常にリアルで面白いです。登場するギャルの話も我々が想像する通り。バックに漫画『闇金ウシジマくん』の世界が広がっていることが容易にわかる記述満載です(笑)
『ギャルとギャル男の文化人類学』の方は特殊すぎる世界ではないのか?
と私も読んでいて思いましたが、「インカレ⇒チーマー⇒イベサー」という
時代の流れからもギャルを形成していったのは渋谷なのでしょうね。
東京ガールズコレクションのプロデューサーも渋谷のイベサーを
通過(元ive.の代表)した人だったりしますし、
今のギャルマインドを知るなら『パギャル消費』だけではなく、
『ギャルとギャル男の文化人類学』も併読しておくのをオススメします。


コメント
コメント一覧 (1件)
コギャルの時代からはずいぶん変わりましたね・・