MENU

アルマーニ初の評伝

ジョルジオ アルマーニ 帝王の美学
ジョルジオ アルマーニ 帝王の美学 レナータ モルホ 目時 能理子/関口 英子

日本経済新聞社出版局 2007-07-21
売り上げランキング : 885

Amazonで詳しく見る by G-Tools




 20世紀で最も成功したデザイナーであり、
雑誌フォーブスの世界長者番付においても、
常にランクされているアルマーニ。
モードの帝王、ジャケットの帝王、ミラノキング、
マエストロ・ディ・マエストロ、ファッション界の
モンク、ミラノの3G、モード界のミケランジェロ、
完璧主義者。アルマーニを称える言葉はたくさん
あるのですが、本書『ジョルジオ アルマーニ 帝王の美学

はアルマーニの華やかな一面だけではなく、
医学の道から偶然アパレルの世界に入った経緯、
パートナーのセルジオ・ガレオッティとの出会いと別れ(アルマーニはゲイ)、クリエーションの
源となった家族の話など、プライベートについても
詳しく書かれています。




 アルマーニといえば、パリが中心だったモードの
発信地をイタリアに引き寄せたのが一番の功績ですが、
やはり、一般的にアルマーニといえばスーツでしょう。
そのアルマーニのスーツがどのような考えの下で
生まれたのか。この言葉に全てが集約されていると
思います。



どの服も、みな、あまりにも堅苦しく、誰が着ても
同じに見えてしまう。着る人の個性を際立たせ、
1人のひとりの体にフィットするものはないものか
と思ったものだ。だから、独立して自分の好きな服を
作るようになったとき、従来の紳士服のスタイルとして
厳格に定められていた、ジャケットの”構造”を
解体しようと決めたんだ。堅苦しい構造のせいで、
誰が着ても同じに見えてしまうんだからね。男性の
身体に一枚の布をごく自然に掛けて見て、いろいろ
試してみた。それまで”欠点”とみなされていた部分に
注目しながらね。僕の頭にあったのは、既存の構造を
解体し、より自由に動きやすくすることだったんだ。
男性がたちが個性的で自分らしい装いをするためには、
それが不可欠だと僕は思う。


 こうして英国の堅苦しいクラシックスーツは
解体され、バブル期に日本でも一世を風靡した
ソフトスーツ(ソフトジャケット)が誕生するのです。
ルーズフィットさせた結果、カジュアル性も帯びて
しまうのですが、スーツに限らず、着た時の動きや
機能性を追求することが、アルマーニのファッション
の哲学なのです。ニュートラルで自己主張しない
カラートーンもアルマーニの特徴なのですが、こちらも
着る人の個性を際立たせるため、そういう色使いを
しているのでしょうね。何よりも、着る人(消費者)
ありき。これがアルマーニなのです。


 あと、アルマーニで忘れてはいけないのが、
今のファッション界で定番となっているセレブ戦略の
先駆けでもある、ということ。



仕事をしている人のために服をつくるのが好きなんだ。
俳優や女優も働く人間だし、スター云々は関係ない。
僕は何がなんでも自分のセンスを押し付ける独裁者
になりたくない。モードは人を奴属させるもの
じゃない。服を着るという行為は、純粋な楽しみで
あり安らぎなんだ。自分らしさや自信を得るための、
1つの方法でしかない


 セレブ御用達のデザイナーというレッテルを嫌いつつも、
セレブという広告塔に目をつけ、巧みなセレブ戦略で
利益を最初に生み出したのがアルマーニです。
今ではアカデミー賞授賞式は一種のファッションショー
になっていますが、セレブがアルマーニを着用するのは、
アルマーニが富と名声の象徴になっているからです。
成功者の証(自信を得るためのひとつの方法)なんですね。
アルマーニとハリウッドの関係についての詳細は
本書でご確認を。



 本書は多数の写真も掲載されているのですが、
若い頃と年をとってからのアルマーニの顔が
あまりにも違うので驚かされます。年々「帝王」
に相応しい荘厳な顔つきになっているのですね。
男の顔にはそれまでの人生が現れますが、
いかに、アルマーニが自分にも他人にも厳しい人間か、
というのがよく現れていると思います。


 アルマーニはファッションヴィクティムに
時代遅れのデザインと言われようが、奇抜なデザインに
走ることはありません。メディアの評価に
隷属したくない、とショーからメディアを締め出し、
WWDと喧嘩したこともあったようです。また、
スーパーモデルが全盛の時代でも、スーパーモデルを
起用することは一切ありませんでした。
アルマーニは表面ではなく物事の本質を追求する
独自のスタイルをずっと貫いているのです。
目まぐるしいスピードで変化するトレンドの中に身を
置きながら、何十年も己を保っているのです。
アルマーニは常にアルマーニなのです。
この信念の強さが「帝王」と言われる所以
なのでしょうね。





よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (5件)

  • ピエール・カルダンの時と同じく、優れた記事だと思いました。
    かの落合正勝氏も「デザイナーズスーツの中で、クラシックスーツと共に残っていくのは、アルマーニのスーツだけだろう」というようなことを言ってますし。バブル期のイメージが強いせいか誤解されがちですけど、やはり偉大なデザイナーだと思います。

  • >Alcesteさんへ
    アルマーニはバブルの影響で、ど派手で、大柄な
    デザインというイメージですが、実はミニマムで
    シックと、真逆なんですよね^^;アルマーニは
    お金儲けが好きだから成金ぽいイメージがあるのでしょうか・・・

  • 十分奇抜なものもあると思うが、まぁそこは俺の価値観が古臭すぎるんだろう(笑
    にしてもこれ読んでみたいな
    アルマニは結構好きだし
    それはそうと、奴属って隷属のこと?

  • >taskさんへ
    ご指摘サンクス!修正しました!
    ガリアーノやゴルチェと比べると、かなり保守的
    だと思います(笑)

  • ガリアーノやゴルチェは逆の方向に突っ走ってるでしょう(笑)比べる対象ではないですよ。

コメントする

目次