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POPEYE伝説の裏舞台が楽しめる本

popeye物語―1976~1981


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 1976年の6月25日、武道館でモハメド・アリ対アントニオ
猪木の世紀の対決が行われた前日、当時の平凡出版(現在の
マガジンハウス)より、「Magazine for City Boys」という
サブタイトルで創刊されたのが『POPEYE』です。
日本の若者のバイブルと言われ、『POPEYE』を真似る
男性は「ポパイ少年」と呼ばれるほど人気があったそうです。


 モノにこだわる(カタログ雑誌)、独特なコピー
(気分はもう夏、スグレモノ等)、アメリカ西海岸の
ライフスタイルを日本に初めて紹介した(サーフィン、
スケボー等)、オシャレとモテを結びつけた(軽佻浮薄)、
若者向けの雑誌なのにヌードや劇画がない(オシャレに目を向けさせた)。
これが『POPEYE』です。高尚な薀蓄とジェントルマン
思想で溢れていた硬派なファッション誌『MEN’S CLUB』の
カウンター的雑誌で、今の若者向けファッション誌の原点
なのではないでしょうか。当時の若者に与えた影響は
計り知れないものがあり、ファッション関する数多くの
本がPOPEYE伝説を取り上げています。


 今でこそ、『POPEYE』は
祐真朋樹
氏の影響からか、「エレカジ(エレガントカジュアル)」
というモードよりの内容ですが、『Made in U.S.A』という
ムックから出発した雑誌だけに、創刊された当初はストリート
寄りのアメカジでした。「AMERICAN LIFESHOP BEAMS」と
いう看板を掲げ、『POPEYE』創刊と同じ年の2月にオープンした、
ビームスとの密接な関係は有名で、創刊号の「カルフォル
ニア特集」ですでにビームスの紹介記事があるくらいです。
ビームスとPOPEYEの蜜月の歴史は『popeye特別編集 ビームス』にまとめられているので、
興味のある方は読んでみてください。




 さて。簡単に『POPEYE』の説明をしたところで、
本書『popeye物語―1976~1981
について言及していきたいと思います。著者は椎根和氏。
元『POPEYE』編集長(実質上の編集長)で『日刊ゲンダイ』
『Hanako』『relax』にも携わってきた編集畑一筋の人です。
内容的には、著者が創刊からの5年間を多り返るという
スタンスで、最初の2年くらいを重点にサクセスストーリー
がまとめられています。モノにこだわり、独特な
コピーを書き、アメリカ西海岸のライフスタイルを
日本に初めて紹介した雑誌『POPEYE』はどんな人たちが
創ったのか。編集部の人物を中心に描かれているのですが、
特に石川次郎氏という人物の着眼点は凄いなと皆さんもきっと
思うはずです。


 『「アンアン」1970』や
おしゃれ革命
を読んだ時も思ったのですが、やはり、この手の本は、
企画・構成の話、取材の話、言葉の話といった、編集者
ならではの小話が面白いですね。嘘か真か、「独断と
偏見」というフレーズは『POPEYE』発、「ギャル」という
言葉を一番早く用いたのも『POPEYE』というのには驚きましたし、
新しい雑誌が面白いかつまらないかは写真説明を読めばわかる、
という指摘には唸らされました。誌面にホモっぽいスパイスを
かけるのは販売政策的に有効だけど10号まではホモっぽくしすぎた、
『POPEYE』成功以降、電通の否定的な感じを持った雑誌をあえて
創刊するという雑誌社はあらわれなくなった、
『ホットドッグ・プレス(POPEYEの対抗誌)』の創刊前に、
ギャラを倍出すから、と多くのスタッフに移籍を持ちかけてきた講談社、
タクシーチケットを悪用したスタイリストの話など、
雑誌の裏話(暗部)的なものも晒されていて、
こちらも興味深いです。雑誌や編集の仕事に興味がある人は
特に楽しめると思います。ただ、完全に「読み物」なので、
当時の写真やファッションに興味がある人は、
先ほど紹介した『popeye特別編集 ビームス
』を読んだほうがいいです。



 余談ですが、「ポパイ以降、文字・文章をパワーの
源として成功をした雑誌は生まれていない。文字・文章を
パワーと考えない編集部が作る雑誌は衰弱するしかない」
と著者は嘆いておられますが、「ガイアが俺にもっと輝け
と囁いている」の『MEN’S KNUCKLE』があるではないですか。
著者の言うところの文字・文章とはちょっと違うかもしれませんが、
カタログっぽいファッション誌が多い中で、あのコピーは
際立っています。特にストリートスナップの写真説明は面白すぎます。

そしてその独特なコピーと言いますか、MEN’S KNUCKLE節は
確信犯です。
文字・文章をパワーと考えているから
こそでしょう。『MEN’S KNUCKLE』やお兄系の勢いの秘密は、
こんなところにもあるのかもしれないな、と読んでいて
思いました。





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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (3件)

  • 独特の言語って人を魅了しますよね。
    そういえば、、、「あでーじょ」なんかも読み物を面白くするちょっとしたスパイスかも。
    私は文よりも写真の中にちょこっと入っちゃってる小物好きですね。小物を見れば撮り手の気持ちが何となくわかる気がする。
    へぼショットもなんなく受け入れられる、そんな小物。私は好きです。

  • POPEYE本と言えば、赤田祐一の「ポパイの時代」という名著があります。
    未読でしたら是非読んでみて下さい。

  • >けぇさんへ
    小物ですか。なるほど。そういう細部にクオリティーというのは現われるのかもしれませんね。
    >Fさんへ
    未読でした。さっそく読んでみます^^

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