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書評『ヴィンテージファッション』

ヴィンテージファッション―娘に、そして孫に伝えていきたい文化遺産


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 よく言えば、直球、悪く言えば、捻りのないタイトルの
本書『ヴィンテージファッション

ですが、内容的には、ヴィンテージ好きの著者が、自分史や
ヴィンテージの小話を交えながら振り返る、1940年から1970年代までのファッション史(主にレディース)という感じでしょうか。ヴィンテージといえば、どうしても、アメカジ、特にジーンズというイメージが強く、モード(デザイナーブランド)のヴィンテージについて言及している雑誌や本は少ないので、ヴィンテージの小話が非常に興味深い一冊です。





序章 真価のある「美的な服」を求めて

~心の琴線に触れるのがヴィンテージウェア


第1章 上流階級が育てた1940年までのファッション

~まず、時代とファッションの関係を学ぼう


第2章 ヤングが主役に躍り出た1950年~60年代

~憧れのシネモードと若者の弾けたファッション


第3章 日本人のブランド意識が目覚めた1970年代

~ブランドに憧れ、踊らされた次代を経て惑わされなくなった
消費者


第4章 伝えていきたいファッション

~ヴィンテージウェア&グッズを通して理解する奥深い
ファッションの魅力


第5章 優れたファッションは永続性を有する

~見直したい「作り手の想い」とそれを愛する
「受け取り手の気持ち」



ヴィテージを理解する上で必要なファッション知識を
得るために、改めて歴史を振り返って
みよう。ファッション史を踏まえた上でもの選びをする
ことが、目利きになるための第一歩だと私は確信している


ファッション史にかなりページが割かれていますが、
本書のファッション史を読んだところで、ヴィンテージの年代が
わかるようにはならないでしょう。あくまで著者の自分史なので。
切り口も年代を見極めるディテールの解説ではなく、
読み物としてのファッション史です。ファッションの
歴史的背景に興味を持ってほしい、というスタンスです。
ファッション史は他に良書がたくさんあるので、

20世紀モードとシルエットの変遷 1900-2000
みたいな感じで
書かれたファッション史が読みたかったですね。


 もう1つ残念なのが写真です。全部白黒なのです。ヴィン
テージはその色あせや素材感が好きという人も多いと思うのですが、
カラーではないので、そのあたりがわからないのです。



自惚れになるが、どこのヴィンテージショップに行っても
「私の所蔵品の方が勝っている」と実感する。それもそのはず、
30年間集めた成果だからである。商売にしているわけでもなく、
ただ純粋に「好き」という気持ちに忠実に
「私にとって可愛いデザイン、素材、ディテールの服」
ばかりを集めてきた。まさに「おたく」の境地なのである。


とのことですが、そのコレクションが見たいのです。
なぜ、『
ソニアのショッピングマニュアル
』みたいに服を美しく撮ろうとしないのか、
カラーにしないのかと思いました。ファッション史に力を
入れるのではなく、『
ソニアのショッピングマニュアル
』や『川島屋百貨店
みたいに、見開き左に美しいカラーのヴィンテージの写真、
右にファッション史を交えた解説文というスタンスの方が良かったような・・・。



今日のような生産効率と販売利益を追求したものづくり
には、職人技が期待できない。今や失われてしまった
技術もあり、再現したくてもできないという側面もある。
従って、オートクチュール以外で、それが見られるのは
ヴィンテージウェアのみといっても過言ではない。


 1960年代くらいからプレタポルテが台頭してくるのですが、
それ以前の服は、注文服、すなわち、ハンドメイドが多く、
丁寧なつくりのものが多いです。生地もしっかりしており
味わい深いですよ。特にクラシック志向の強いメンズだと、
ディテールもそこまで大きく変わっていないので、今、着ても、
そこまでおかしくありません。ただ、ヨーロッパの人は、
古いものに価値を見出し、親から子へ、子から孫へ、と「いいもの」を
継承していくことに誇りを持っているそうなので、なかなか
「いいもの」が出てきませんし、出てきても高額なのが厳しいところです。
60年代以前のジャケットだと、3万円~とか普通にするんですよね・・・。



 ちなみに、業界人にはヴィンテージの愛好家が多く、
有名どころのデザイナーだと、ラルフローレンやポール
スミスは大のヴィンテージマニアです。よく、
ヴィンテージやクラシックをソースに、捻りやユーモアを
加えて、現代風にリデザインしています。日本の若者に
人気のブランドだと、ジョンローレンスサリバンの
デザイナーはイギリスの古着の輸入販売をしていましたし、
Nハリウッドのデザイナーは古着屋のバイヤーで、
古着をハリウッドに買い付けに行っていました。
どちらのデザイナーもヴィンテージからアイデアを
得ているのは言うまでもありません。「故きを温ねて
新しきを知る」というやつです。だから何?と言われるかもしれませんが、ヴィンテージって一度その良さを知ってしまうと、
はまるものなんですよ。決して「ヴィンテージ」という
記号が欲しいばかりに、大金を使っているわけではないのです。


 ファッション誌ではアメリカの古着ばかりで、あまりヨーロッパの
古着やヴィンテージは取り上げられませんが、これだけモード
(デザイナーブランド)が好きな男性が増えたのなら、過去の作品に
興味を持っている人も多いはずです。ジーンズ、アロハシャツ、
スニーカーのように、ヨーロッパのジャケット、シャツ、スラックス、
紳士靴のディテールやシルエットの変遷の解説を読んでみたくはありません?エコブームということで、最近、古着に注目が集まっていますが、
メンズファッション誌も、もっとヨーロッパの古着やヴィンテージを
取り上げればいいのにな、と思います。





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