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社会階層から姫ギャルに迫った本『女はなぜキャバクラ嬢になりたいのか』

女はなぜキャバクラ嬢になりたいのか? (光文社新書) 女はなぜキャバクラ嬢になりたいのか? (光文社新書)
三浦展

光文社 2008-11-14
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 今年は「アラフォー」が流行語大賞をとりましたが、ファッション関係でもう一つ注目なのは、流行語大賞の候補にノミネートしていた「デコ電」です。デコ電とは、お姫様のようにデコレーションしたキラキラ・ギラギラの携帯電話のことですが、この「お姫様」と「携帯電話」。2つをつなぐのは何かというと、言うまでもなく「小悪魔ageha」と「姫ギャル」ですよね。今年の女性誌の中心といっても過言ではないキーワードです。


 姫ギャルについては、話題の「姫ギャル」とは?ギャルの歴史を紐解きながらその正体に迫るで、トレンドという視点で以前まとめています。


・黒ギャル(≒コギャル)→ガングロ


「コギャル≒援助交際」に反発


・白ギャル(≒エビちゃん系)→姫ギャル


「かわいい≒エビちゃん系≒他力本願(モテ)≒メディアの情報に
受動的≒スイーツ(笑)」に反発


ポストエビちゃん(ロールモデル)は現れませんでしたが、ミジカリスマを通し、エビちゃん系の一部が濃縮されていき、その群体がポストエビちゃんになった、というお話です。トレンド視点なので、社会階層という視点が抜けているのですが、その社会階層という視点で姫ギャルに迫っているのが本書『女はなぜキャバクラ嬢になりたいのか?
』です。





<目次>


第1章 キャバクラ嬢になりたいのはこんな女子


15~22歳の女子の2割がキャバクラ嬢になりたい!

人気職業ベスト3は、女優・モデル、ミュージシャン、タレントなど芸能系

好きなことを仕事にしたいのは下流化か?

風俗嬢になりたい女子も1割!

キャバクラ嬢がなりたい女子が他になりたい職業は芸能系と対人サービス業

人から承認されたい

一番になりたい

勉強の好き嫌いとはあまり関係がない

カラオケボックスが居場所

まずは容姿への自信

色と金への欲求など現在志向は強い

男性への依存心が強い

破壊欲求はない

自立を強いる社会では、女性が女性らしいだけでは承認されない

キャバクラはテーマパーク

キャバクラ嬢はジェンダーフリー時代の鬼っ子


第2章キャバクラ嬢の好みと生活、第3章キャバクラ嬢になりたい女子はなぜ増えたのか、資料1 キャバクラ嬢とその予備軍50人にインタビュー、資料2 高学歴キャバクラ嬢インタビュー、資料3 キャバクラ基本用語集と続くのですが、第1章で本書の肝がほとんど述べられていて、あとはそれを多少掘り下げたり、資料をまとめていたりするくらい。『下流社会』『下流社会第2章』と比べると、挙げられている資料も少なく内容的にも薄いので、もう少し、多角的に分析して欲しかったところ。浜崎あゆみ、携帯電話(携帯小説)、小悪魔ageha(ファッション)にも触れていますが、
このあたりは章を割いて言及してほしかったですね。


 内容は1章の目次を見てもらえばだいたいわかると思いますが、下流社会の事例研究として、良くも悪くもいつもの三浦展節で論が進められています。まとめるとこんな感じ。


・長期トレンド


ギャルの拡大(価値観の変化)


・中期トレンド


バブル崩壊と雇用環境の悪化


・短期トレンド


キャバクラ嬢のメディアへの露出(小悪魔ageha、女帝)


この3本柱がキャバクラ嬢になりたい女性を増やし、これらと密接に関わるサブカルチャーをみると、小悪魔agehaにせよ、携帯小説にせよ、浜崎あゆみにせよ、支持されているものからは「自己承認(今の自分を肯定してくれるもの)」というキーワードが浮かび上がってくる、というのが本書に書かれている内容です。これには、なるほど、と思いました。
確かに小悪魔agehaを読むと、「病んだっていいじゃん」「弱くてもいい」「どこの街にいっても結局は一人」とこういうフレーズがよく目につきます。装飾過多なのも「“認められたい”という思いが人一倍強い」というので説明がつきますし。


 ただ、いつも通り資料に偏りを感じるのが難点。帯の「若い女性の20%がキャバクラ嬢になりたい」も実際は59種類の職業から複数回答だったり、その選択肢にイルカの調教師やメイド喫茶のメイド(ピンポイントすぎません?笑)が含まれていたり、調査母体が携帯サイト(携帯とキャバクラ嬢は親和性が高い)だったりするので、その資料を元にした論も鵜呑みにはできません。


 あとはそうですね、キャバクラ嬢のヒアリング調査が面白かっただけに、関東だけに偏らず、関西や他の地方でもやってほしかったのですが、ヒアリング調査を読んでいると、ショップ店員と美容師見習が多かったのが印象に残っています。改めてファッション・ビューティー関係の大変さ(薄給かつ美容・服代にお金がかかる)と、小悪ageha(キャバ系ファッション誌)に需要があるのがよくわかりました。





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