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男の傑作品 愛するモノの選び方 (BIGMANスペシャル) 世界文化社 世界文化社 2011-11-16 |
日本に初めて「クラシコ・イタリア」という言葉を紹介し、
日本のメンズファッション(主におじさまたちのファッション)の
在り方に一石を投じた落合氏。亡くなられてからもう五年経ちますが、
未だに年に一冊くらい氏に関わる本が出版されております。
それだけ今でも影響力のある服飾評論家ということなのでしょうか。
本書『男の傑作品 愛するモノの選び方』はそんな落合氏が愛した名品42点が収録されており、
落合語録やそのブランドに関するエピソードを交えながら氏のワードローブを
紹介するという内容。落合氏はクラシックを「世界的な評価を持つ、最高級」という
意味でも使っているので、本書に登場するアイテムは全て高額品です。
キートン、ゼニア、アルマーニ、ブリオーニ、フライ、バーバリー、
エドワードグリーン、タニノクリスチー、マリネッラ、ロロピアーナ、
デンツ、エルメス、ジャガールクルト・・・etc。
嫌味なまでに一流どころばかりという(笑)
圧巻だったエピソードは落合氏が20代の終わりに購入したという
アクアスキュータムのコート。表がシルク、裏地には現在ワシントン条約で
捕獲が禁止されているアザラシの幼獣ベビーシールの毛皮があしらわれており、
当時の価格で150万円もしたそうです。30年前なので今なら倍の価格でしょうか。
それを20代で買う。しかも即決。私も服が好きな方ですけど
これは真似できないですね(笑)後先考えず目の前のアイテムに
ここまで惚れ込む。すごいパッションです。
「投資は正しい選択眼を養い、時を経ればそれが決して無駄では
なかったことに気付く」
という信条の元に、最高級品を生涯使い続けることが
男の「格」を作り上げると考えていたそうですが、
この領域に20代で到達しているとは恐れ入ります。
普通は無駄になることを恐れてその一歩が踏み込めませんよね。
一流品にこだわることへのスノビズムは置いておいて、
「生涯使い続ける」という点は共感しました。
「一生モノ」。ファッション誌を読んでいるとよく目にする言葉です。
「ずっと使うことができるので長い目で見れば元が取れる」
もしくは「リセールバリューがある」と説明が続くのですが、
「一生モノ」は損得じゃないないですよね。一生モノとは「一生の面倒を見る」とか
「人生を共に歩む相棒」であり、それだけ惚れ込むことのできるアイテムのことです。
そこには愛があるんですよ、愛が(笑)ワンシーズンで売ったりせず
そのアイテムの最後まで付き合うのです。時にはタンスで眠っている
期間もあるのでしょうが、リペアやサイズのお直しをしながら長く
付き合っていくのです。それが一生モノです。
落合氏の80年代に購入したというアルマーニもそろそろ立派なヴィンテージです。
流行廃りのあるデザイナーズの服ですらヴィンテージになるまで付き合う。
この服への愛に溢れるスタンスが落合氏の素敵なところだと思います。
だからこそ、本書も「一生モノ」や「ホンモノ」の選び方というタイトルではなく
「愛するモノ」なのでしょうね。
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別冊2nd Vol.8 目利きが選んだ愛用品 (エイムック 2277 別冊2nd Vol. 8)
エイ出版社 2011-10-28 |
ついでなので紹介しておくと、こちらのムックも「愛用品」についてです。
2ndのムックなので高級品ばかり登場するわけではなく、
リーバイス、レッドウィング、ペルソール、バラクータ、パタゴニアなど2nd的なラインナップ。
他にも、エルメス、パテックフィリップ、バイク、車、ギター、
サーフボードまでいろいろと出てきます。愛用歴1年を正直に
答えるのはどうかと思いましたが、愛用歴何十年という業界人たちの
逸品やエピソードは説得力と愛に溢れております。
定番品、一生モノ、一流品とかそういうカタログ的な
モノが読みたいのではない、スペックや薀蓄の話は飽きた、
そんな人は是非この二冊を読んでみてください。
どこに惚れ込んだかという馴れ初めは面白いですよ。


コメント
コメント一覧 (5件)
いつも楽しみに拝見しております!
今回の記事に思わず共感し、書き込みました。
ある大御所スタイリストの先生が「物を大切にするのも美の一つ」と仰っていました。私も気に入っているカーディガンを何度も破れを手縫いで直して着たり、靴の底のゴムを張り替えたりしていくうちに、アイロンをかける時の感覚も変わってきました。今までそれを愛とは気付かなかったけど、確かに愛があります。
男性でそういう物を大切にする人は本当に魅力的ですし、増えればいいなあと思います。
母はね、いつのまにか一生モノになってしまった服を持ってるよ。気にいってるらしい。結構若い時に買って、80を越えたいまでも大切に持ってる。
僕も気にいってる服があって、もしかしたら長い付き合いになるかもしれない。
いつか出会うもんだよね。daleさんはどう?
はじめまして。
今日雑誌をみていて、「コストパフォーマンス抜群」がやけに引っかかりました。
よく耳にする言葉です。
服のコストパフォーマンスってなんでしょうかね?
少し関係あるかなと思ったので書き込みました。
全く同感ですね~。一生使いつづける事が…コストパフォーマンスが、耐久性が云々。
よく雑誌で目にしますねぇ。なんか違うよなぁと思ってましたがdaleさんが代弁してくれました(笑)
一生物になるかどうかは使用者本人の扱い方や物に対する気持ちですよね。
上質だから耐久性があるなんてことは決してなく上質を追及するからこそ耐久性を犠牲にするものもありますし。
大事に扱わなければ例え高級品で作りが確かであろうと何十年ももつわけがないと思います。
雑誌のように上質だから耐久性が~コストパフォーマンスが~という考え自体少しズレている気がしますね。
祖母から譲り受けたバランタインというブランドかな?のカシミアセーターがありますが、30年以上前に購入したとは思えないほど肉厚でカシミア自体も非常に艶やかで手触りもよく。一生物とはこーゆー事なんだなぁと最近思いましたよ。
もちろん物自体がいいのもあるのでしょうが耐久性が決して高いわけではないカシミアセーターを30年も大事に手入れして着続けてきた事に感動しましたよ。
とはいえミーハーな私はこのブランド?はまだ残っていてこのクオリティのカシミアを扱っているのかしら?と考えてしまうのですが(笑)
>fukuさんへ
たかが服されど服。
ですが、服を大切に着るようになると服に対する
スタンスが変わりますよね。
それは外見にも反映されるものだと思っています。
>masatoさんへ
いつの間にか一生モノ・・・というのは
若輩者なのでまだないですけど、
意図的にこいつは一生着てやる!
くらいの服はいくつかあります。
>raitoshiki さんへ
コストパフォーマンスというのは、
値段相応のという点で審美眼を磨く糧にはなる
と思いますが、スペックばかり追いかけるのも
なんだかなぁ~って思っています。
>たまさんへ
そうなんですよね。
定番だから、高いから一生モノではなくて、
その人の意気込み、つまり愛なんですよね(笑)
ニットは昔の方がふかふかしているなと
よく古着屋にて思います。