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スニーカー文化論 川村 由仁夜 日本経済新聞出版社 2012-12-26 |
今期90年代のストリートファッションが流行るならスニーカーが注目を集めるはず。
トラッドの影響か革靴がここ数年ずっと人気ですが、90年代はスニーカーシーンが
盛り上がっていたなぁと懐かしく感じ手に取ったのが本書『スニーカーの文化論』です。
スニーカーの勉強をしておこうかなと思ったわけです。
まず「はじめに」を読むとこんなことが書いてあります。
だが筆者はスニーカーマニアでもコレクターでもない。
スポーツウーマンでもないので実はスニーカーは2足しか持っていない。
自身がマニアではないからこそ客観性を持ってリサーチできるという話になるのですが、
たった2足というセンセーショナルな数字をわざわざ出すということは、
スニーカーについて調べているうちにすっかりその魅力に取りつかれ、
今では20足、いや200足までコレクションが増えました的な美談が「あとがき」に書いて
あるのだろうなと読みますと・・・。
スニーカーの魅力が理解できるようになり、自分も購入したいと気持ちもありますが、
収集を始めたら終わりがなく、中毒的になるようなので、
ひたすら傍観者でいたいと思います。
2足という前フリはなに!?傍観者宣言とか書く必要あるの?と椅子から転げ落ちそうになりました。
どうやら「サブカルチャーとファッション」という著者の研究過程でスニーカーが気になったようです。
スニーカー好きを敵に回すような発言なので、どうしても突っ込みどころを
探しながら読むような視点になってしまうのですが、
それらをピックしながら本書の紹介をしていこうと思います。
■現存するスニーカーブランドで最古は?
序章のテーマは「スニーカーに取りつかれた人々」。スニーカーマニアの存在、
レアモデルの存在、スニーカーの始まりなどの説明がざっくり書いてあります。
ここを読むと、日本ではなくアメリカのスニーカーシーンをまとめた本なのだなとわかるのですが、
最初に突っ込みたいところは最も歴史の古いスニーカーブランドについて。
最も歴史の古いスニーカー専門メーカーは、アメリカのケッズとコンバースだ。
ケッズは1916年に「プロケッズ」の、コンバースは1917年に「オールスター」の
生産を開始した。そのあとを追って、BFグッドリッチ社やAGスポルディング社も
スニーカー作りをはじめる。
スニーカー最古メーカーは一般的にはサッカニーかケッズ(前身時代含める)として説明されることが多いのと、
プロケッズは49年からスタートですね。ケッズの代表モデルはチャンピオンじゃないでしょうか。
そして本書を最後まで読んで気付いたのですが、本書はランニングシューズの話がほとんどでてきません。
「スニーカー≒バスケットシューズ」という視点でまとめています。
だからスニーカーの始まりがコンバースとケッズなのかなと理解しておきました。
■エアジョーダンのロゴ「ジャンプマン」はいつ出てきたか
1章は「スポーツ選手がつくるトレンド」ということで話のメインがバスケットシューズです。
コンバース、エアジョーダン、レブロンジェームズ、エアフォースワンなどが登場します。
中でもページ数が多いのはエアジョーダンです。しかし・・・。
エアジョーダンすべてのモデルについているジョーダンが高くジャンプしている
シルエットを表しているロゴ「ジャンプマン」はナイキの「スウォッシュ」と
同じくらい有名だ。
ジャンプマンはエアジョーダン3以降に登場したロゴです。
1、2のウィングロゴの替りに出てきたロゴなので3より前にはついてないような。
スニーカーを見るマニアの視点と言うのは細かいのです。その細かさ、
マイナーチェンジの積み重ねもスニーカー文化です。
机上で資料だけまとめただけでは見えてこない点はたくさんあります。
これは結構痛恨のミスだと思いました。
エアフォース1に関する記述も、その名称の由来やオバマ大統領の好みよりも、
31年の中での謎の空白期、黒歴史扱い?の2、3、マックスの存在、
ミッドカットだけ遅れて90年代に登場していることなど掘り下げるネタは
たくさんあると思うのですね。いや、個人的にそのあたりが知りたかった
だけなのですけども(笑)
■ヒップホップの項目で飛ばされたPUMA
2章は「音楽とスニーカー」について。前章でエアジョーダンを取り上げていたので、
AJ5の暗闇で光るリフレクター素材のタン、 HIPHOPのサンプリング手法に似ている
スパイズイックの話が出るのか?と思ったら出てこず。
RUN DMCとアディダスの話が紹介されています。これは外せないですね。
最初に歌の中でスニーカーのことを歌ったのが、1980年代に活躍した
3人組のラップグループのランDMCだ。彼らは純粋にアディダスが好きで、
3本線が入った同ブランドをいつも履いていた。
「ランDMCとアディダス」とページを割いているのに、歌と契約の話ばかりで彼らが
はいていたモデルの名前が出てこないという・・・。紐なしタン出しスタイルよりも
名品「スーパースター」に触れて欲しかったですね。それとBEASTIE BOYSとPUMAの話。
これも華麗にスルーされています。00年代のリーボックとラッパーとのコラボを取り上げるより
80年代・90年代のPUMAが先ではないでしょうか?ファットシューレース文化もありますし。
■ハイファッションの項目でスルーされる「ジルサンダー×PUMA」
3章は「映画、アート、ファッションとスニーカー」、いわゆるハイカルチャーの話も出てきます。
ファッションとハイブランドの話にも触れておりますが・・・。
イタリアのミウッチャ・プラダは、04年のヨットレース、アメリカ・カップに
出場するイタリアのルナロッサ・チームのスニーカーをデザインし、
デザイナーとしての領域を広げた。黒、シルバー、白がクラシックとなり、
ファッションデザイナーが靴のコレクションの中にスニーカーを含めることを常識にしたのだ。
90年代からモード界でもスニーカーは見られましたが、なんと言ってもこの分野でまず
触れたいのは1998年のジルサンダー×プーマのコラボだと思うのですね。
これが先鞭を付けた形となり、その後、ミハラ×プーマ、ヨウジ×アディダス、マーク×バンズなどの
コラボが次々と出てきました。ミハラ、マックイーン、チャラヤンはしっかり取り上げているのに
なぜジルサンダーだけスルーなのか。解せぬ!と思ったらニールもスルーされておりました(笑)
取り上げる上げないの線引きが謎であります。
4章は「ソーシャルメディアとスニーカーゲーム」、5章は「スニーカーのカリスマたち」で、
スニーカーシーンもネットの影響で情報収集の仕方が変わってきたということがまとめられています。
HYPEBEAST、ツイッター、コンプレックスマガジンの「世界で最もスニーカー文化に影響を及ぼした人」などの話です。
ここでようやく「藤原ヒロシ」が登場します。しかしほとんど名前だけというスルーぶり。
要するに、本書はスニーカーに関するウンチクがテーマに沿ってまとめられ、
時系列順に並べられているという感じの内容です。マニアならではの鋭い視点もなければ、
スニーカーの変遷史としては偏りがあり、カルチャーやファッション面での深い考察もない。
さらにその説明も穴が目に付くという・・・。
これが新書なら良いと思うのです。アメリカのスニーカーカルチャー入門書的な感じで。
しかし、本書はハードカバーで1,700円。タイトルも「スニーカー文化論」と大真面目なので
専門的な情報が書いてあると思いますよね。すると、マニアか物好きくらいしか
手に取らないかと思うのです。で、読んでみると、スニーカーマニアではない
私ですら気になる点が多々見つかったので、マニアの方が読んだらどうなのかな?
という感想です。
カルチャーは中に入ってなんぼ。興味本位だけで外からまとめた情報は読んでいて
あまり面白くありません。南井正弘氏に「俺がスニーカー文化論だ」という本を
東京視点で是非書いてほしいと思いました。そうなれば本書も生きてくるかと思うのです。

コメント
コメント一覧 (5件)
スウッシュ。。。
いつも楽しく拝見しております、
最近、N magazineと言う雑誌の噂を良く聞くのですが
もし、Elastic様が目を通す機会がありましたら、レビューして頂けると嬉しく思います
>maki
ステマ乙
気になってたので、レビューを読んで無駄なお金出さずにすみました(笑。
ありがとうございます!
それにしても、ちょっと酷すぎですね。これで1700円は正直ぼったくり……
>スウッシュ。。。
そっちの表記の方が多い気がしますね。
>makiさんへ
入手したらレビューしたいと思います
>ぱちさんへ
内容的には「スニーカー狂奏曲」というライトなお題で700円くらいの新書が妥当な線だと思いました。