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新社会人向けの自己啓発書『一流の男の勝てる服 二流の男の負ける服』

一流の男の勝てる服 二流の男の負ける服 一流の男の勝てる服 二流の男の負ける服
政近 準子

かんき出版 2013-02-20
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 一流と二流に関する本をレビューするのが三下の私なので力不足だとは思いますが、
好き勝手感想を述べていこうかと思います。そもそも、自己啓発書を真に受けるのは二流であり
一流はこの手の本を読んでいる暇はない、というような突っ込みはナシの方向でお願いいたします。
そこで話が終わってしまいますので。


 著者はパーソナルスタイルストの創始者である政近準子氏。スタイリストやイメージコンサルタントの本は
「成功」「できる」「教養」「一流」「勝てる」などがよくタイトルにつきますが本書もその例に漏れず。
「一流≒服装もできる男」として服装の指南をしているビジネス寄りの内容です。
「社会人になったら最低限知ってほしいこと」や「ビジネスマンの着こなしの基本」を
解説している本という位置付けのようです。




一流・二流.jpg



 本書はベストセラーになった『超訳 ニーチェの言葉』みたいな本でして、
まず「言葉」を出して、それをコラム的な感じで解説していく形式です。
自分で名言・格言を作り自分で解説するのは珍しいです。
聖者、哲学者、文豪、デザイナー、テーラーの言葉ではなく自分。
顧客は1万人を超えるという著者の自信の表れなのでしょう。
内容の大半が自己啓発でハウツーのページは計38ページ。全体の約2割程度です。





■スーツは各アイテムのグレードを揃える


 本書で面白いなと思ったのはスーツの価格とクオリティーのバランスの取り方が指南されている点。
他の指南本では出てこなかった視点です。



【入社1年目~】予算トータル7万円以内


4万円以下のスーツ、5~7千円のシャツ、2万円程度の靴


【中堅クラス~】予算トータルで15万円以内


4~10万円のスーツ、1万円前後のシャツ、4万円程度の靴


【部長職クラス~】予算トータルで16~30万円


10~20万円のスーツ、2万円前後のシャツ、4~9万円の靴


【経営ボードクラス~】予算トータル30万円以上


30万円以上のスーツ、3万円以上のシャツ、9万円以上の靴


 一点豪華主義ではなくグレードを揃える。ファッション誌を読んでいたら金銭感覚が狂いますので、
こんな感じでおよその目安が具体的に提示されるのはありがたいです。
本書にはさらにブランドや購入場所まで書かれています。


■ノータイでも決まるシャツの襟とは?



ノータイでのシャツ選びは、第一ボタンを外しても襟元が広がりすぎないのがポイント。具体的には、襟が通常より若干大きいもので、ボタンダウン、スナップダウンのように襟元が固定できるのがオススメです。


 自己啓発にページを割いているので具体性に欠ける指南も目立ちます。これでシャツの襟が選べる初心者はいるでしょうか?落合氏の本ならここでメジャーの登場ですね(笑)


 ノータイ用のシャツと言えばボタンダウンシャツ。その元祖がブルックスブラザーズ。その原点である6ボタン時代の第一ボタンと第二ボタンの間隔を測ってみると11㎝です。下着に浅いVネックを着ると第二ボタンがちょうどVの先端の少し上にくるよう低めに設計されています。手持ちの他のシャツを測るとだいたい9㎝くらいです。
第二ボタンも開けるのが前提のイタリア系のシャツで約7㎝。これは
11㎝を選べと言いたいのではなく、ノータイスタイルなら第一ボタンは開けますので、第二ボタンの位置も考える必要があるということです。ブランドによって長さが違ってきますので。


 ノータイでも決まるシャツと言えばボレッリのルチアーノも有名ですね。その特徴の一つとして前台襟の絶妙な高さがあります。測ってみると3㎝です。シャツの前台襟の高さは2~4㎝が多く、今時のシャツの襟は低めが多いです(だいたい2.5㎝)。しかし、クールビズ用にドゥエボットーニが人気があるようにシャツの襟は高い方がノータイでは決まるのですね。ただ高すぎると首の短い日本人に似合わない、そしてはハイカラーは古臭い印象を与えてしまうので3㎝くらいが妥当なのだと思います。


 要するに、ノータイ前提のシャツ選びは襟の高さと第二ボタンの位置が肝であり、ボタン間隔、前台襟の高さ、後台襟の高さと各ブランドで全然数字が違います。本書にもこのあたりの具体的な数字があれば良かったのになと残念に思いました。



■脱帽のマナーについて



国際スタンダードの「脱帽」のマナーでは、男性は、人と会話をするときや女性の前では
脱帽するのが礼儀とされています。辞書で「脱帽」の意味を調べてみると、
「敬意を表すために、帽子を脱ぐこと」「比喩的に(その相手にはとてもかなわないとして)敬意を
表すこと」と書かれています。帽子を脱ぐときに、その人の品格が表れるといってもいいでしょう。


 脱帽のマナーは中世にまで遡ります。大きな兜やフルフェイスで誰なのかわからないため、
顔をよく見せ、手には帽子以外の武器を持っていないことを示す、一騎打ち前の作法です。
それが今の脱帽のマナーに繋がっています。勇敢で、名誉を重んじ、
レディファーストを守るという騎士道精神です。品格ではなく礼節の問題です。


 薀蓄力が足りていないのも本書の難点で、辞書より当たるべき資料は服飾史だと思うのですが、
この手のうっとうしい薀蓄が苦手な人も多いと思うので、これはこれでありなのかもしれません。



■イメージ戦略について



「攻め」の色として有名なのは、「赤」のネクタイ。相手も自分も同時にモチベーションを上げる効果があり、
アメリカ大統領候補の多くが戦略的に用いたことは、広く知られています。


 「攻め」「引く」「馴染む」という著者独自の理論展開をしていますが、
赤のパワーネクタイを紹介しているのが気になりました。
大統領候補うんぬんは有名な話なのですが、『スーツの着こなし集中講座
』にこんなことが書いてあるからです。




その昔アメリカ大統領選でよく見かけた赤系のタイを使ったパワードレッシングは、
今や「〇〇のひとつ覚え」というべきかも。いかにもすぎて洒落た感じに欠ける。
勝負時はこの演出を避けておこう。


 本書の巻末の参考文献を見ると、落合氏、出石氏、滝沢氏、宮崎氏、遠山氏
などのおなじみの方々の名前が出てきます。本書はその服飾評論家のクラシックな
着こなし指南の焼き直しなのですが、あまりにも現実離れしている、
おっさんくさい、こんな着こなしは周りにいない、と困惑する若者も多いのではないでしょうか?どちらかと言えば、
『スーツの着こなし集中講座 』のような着こなしが主流でしょう。



 クラシックと今時の着こなし、どちらにも賛否両論があるので(例えばシャツは元々アンダーウェア説)、
その両方を見ているであろう、パーソナルスタイリストならではの視点が本書からは見えてこない。
その点が残念であり、クラシックに右に倣えでは面白味に欠けると思うのです。




 本書は男性の方が書いている指南本と比べ薀蓄力や正確さに欠けているので(言葉が足りていない)、
初心者は鵜呑みにすると「生兵法は大怪我のもと」になりかねません。
参考程度に留めておいた方が良いかと思います。本書はあくまで自己啓発書です。


 それとパーソナルスタイリストの強みを生かすならイメージ戦略にもっとページを割いても良かったのではないでしょうか。
せめて人が着たスーツの写真が欲しいです。


 例えば、同じ女性パーソナルスタイリストの本に『ビジネス服薬術―第一印象と心に効く、ファッション処方箋』があります。
こちらは顧客の服装を改善するという内容の本。写真付きでBEFORE⇒AFTERが示されており、
著者の視点、イメージ戦略、改善の効果が具体的に記されています。


 本書も二流が一流のスーツスタイルに生まれ変わったその過程、
もしくは一流と二流の服装の違いを徹底的に論じるなど、もう少しやりようはあったと思うのですが、
続編が出るならこんな感じでお願いしたいところです。





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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 服で勝つとか、服でモテるとかあるけど、本気なんだろうかといつも思うよ。中身がないのバレバレ。

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