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熱きジーンズのパイオニアたち『日本ジーンズ物語』

日本ジーンズ物語 日本ジーンズ物語

吉備人出版 2009-02-27
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 日経 TRENDY12月号
の「2009年ヒット商品ベスト30」を見ると、「990円ジーンズ」がファッション関係ではトップの10位です。これに、17位に「sweet&ブランドムック」、27位に「FOREVER 21」と続きます。ファッションは二極化してきており、現在、その一方に、大きく傾いているのがよくわかる結果となりましたが、こんな時代だからこそ、皆さんに読んでほしいのが本書『日本ジーンズ物語』です。マス向けの低価格アイテムもいいですが、その対極の存在にも目を向ける、いいきっかけになると思いますよ。





<目次>


第1章 ジーンズ以前

第2章 ジーンズの誕生‐リーバイス

第3章 日本のジーンズの誕生‐ビッグジョン

第4章 ビッグジョン

第5章 ベティスミス

第6章 藍染の技術

第7章 資源ベースのイノベーション考察

第8章 日本ジーンズ市場の分析

第9章 ジーンズの未来


 「イノベーションと資源ベース理論からの競争優位性」と副題にあるように、マーケティング視点でも書かれており、7~9章にそれが顕著ですが、そういうのに興味がない人でも気にならず読める程度のレベルです。小難しいことは書いていませんので、すらすら読めます。それよりも、なんといっても、本書の読みどころは、1章、3章、6章、9章でしょう。


 まずは1章から。ジーンズの生産地として岡山の児島は有名ですが、なぜ、東京でも大阪でもなく児島なのか?疑問に思ったことはありませんか?普通に考えれば、「アメ横」や「アメリカ村」を擁する、アメリカ文化の盛んな東京(上野)や大阪(船場)界隈で発展してもよさそうなものです。でも、中国地方の児島なのです。なぜでしょうか。その理由を歴史を紐解きながら説明しているのが1章です。まさか、古事記から言及するとは思いませんでした(笑)


 第3章は、日本のジーンズのパイオニア、ビッグジョンの重要人物2人に話を聞き、どうやってジーンズを作っていったのか、広めていったのか、当時のライバル社たちはどうだったのか、などが明らかにされます。ジーンズを作るまでの苦労(材料は輸入に頼るしかなかった)、伊勢丹のバイヤーに「洗濯したモノを売れとは失礼」と突っぱねられた話、ビッグジョンの名前の由来、なぜキャトンからコーンミルに生地を変えたか等々。興味深い話がテンコ盛りです。


 6章は坂本デニムとカイハラについて語られます。特にカイハラは皆さんにもおなじみですよね。国内の50%以上のシェアを誇り、
高級ジーンズからユニクロまで、幅広くニーズにこたえているメーカーです。そのカイハラの何がすごいのか、元は何をやっていた会社だったのか、そういうのが紹介されています。「このジーンズの生地はカイハラで~」とうんちくを語れても、カイハラの何がすごいのかまで語れる人は少ないはず。うんちくの説得力が増しますので、是非、読んでおきましょう(笑)


 第9章の後半は蛇足でいらないとさえ思うのですが、前半部分の、藍布屋(桃太郎ジーンズ)とキャピタル社長の話が面白いです。


 藍布屋の社長の方は、ヴィンテージ市場、手織り、染めの技術について主に語っています。



「いや、天然はね、なかなか染まりつかないです。やっぱり、液つけてやって、よく絞ってやって、中で沁み越さないと、3回で合成で染まるものは30回やらないと染まらない」


手間暇がかかっているんだなぁとよくわかるのですが、それでも天然とアナログにこだわり続けるのが熱いですね!


 キャピタル社長の方は、売るためのジーンズが嫌いだ、という
主張をひたすら繰り返します。そういうのはユニクロに任せて、
我々は我々の考える最良のジーンズを作っていく、という強い意思を言葉の隅々から感じるのですが、なんといいますか、熱すぎてやけどしそうでした(笑)



「アパレルというのは原価25パーセントくらいなんですね。で、中国でやるのは15パーセントなんです。だから、1万円のものだったら原価は1,500円もかかっていないんですね。その差は全部中間マージンを誰かが取っていくわけですよね。でも、僕たちの商品の原価は45パーセントから50パーセントかかっているんですよ。
すると卸を入れることはできないんです。卸先には60パーセントくらいで卸さないといけないでしょう。ですから、我々は直接販売するしかないんです。」


こういうのを聞くと欲しくなってきますよね(笑)レプリカ系のブランドの多くは直接販売しかしていませんが、そういう理由があるようです。コストパフォーマンスについて考えさせられます。



 本書は「日本ジーンズ物語」という割に、ユニクロ、エドウィン、エヴィス、ウェアハウス、山口県(岡山の次点くらいにジーンズが盛んな県)などの話が出てこず、どこが日本ジーンズ物語?偏ってない?とも思いましたが、一冊を通して、ほぼ、岡山県に関する企業のみで構成されていて、出版社まで吉備人出版です。徹底して岡山にこだわっていることに気付きました(笑)どうやら著者も熱い人のようです。情熱を感じた一冊でした。





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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (6件)

  • ドゥニームなど、501XXのようなヴィンテージものをディテールや染めまで再現する、現行の本家のジーンズよりかつてのUSA生産オリジナルに近いレプリカを制作販売するドメスティック系の(マニア向けと揶揄されることもある)ブランドのこと・・・ではないかと。

  • 最近BIG JOHNのラムダステッチの買ったんですよね〜
    なかなか良かったですよ〜
    BIG JOHNの名前の由来は社長が小太郎って名前でその時アメリカでのポピュラーな名前がジョンで最初はリトルジョンだったけどリトルってのが縁起が悪いからビッグジョンになったって聞いたことあります。
    桃太郎か暁買おうかな〜
    暁は岡山に行かないと手には入らないけど

  • デニムや革って素材は、その人だけの物になりますからね。
    妥協はできません。
    いま半端な立ち位置に居るリーバイス、手遅れにならないうちに
    国内にレプリカブランド並の製品を作れる設備を導入してはどうかな?
    やっぱりオリジンだし、クオリティ面もトップに居てもらいたいです。

  • >イタリアのなんとかみたいに
    メイドインイタリー並みに世界的に認知されると
    いいんですけどね。
    >レプリカ系のブランド
    下の回答者のコメントの通りです。
    >Mokkori boyさんへ
    小太郎というのは、幼少期の社長のあだ名(蔑称)
    だったので、小を大に変えたようですよ。
    >RX-774さんへ
    作業着として、大衆のための服としてジーンズを作るか、
    服として、ジーンズのオリジンとしてジーンズを作るのか。
    リーバイスは難しですよね。立場上。

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