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ダサいと決めつけるのは早計?白無地靴下がお洒落の最先端になった理由

チョキチョキ3.jpg

CHOKi CHOKi3月号のスナップ特集より


 見せるソックスは派手色と白ソックスが大ブーム。
CHOKi CHOKiに限らず、他のファッション誌をチェックしても白無地の靴下が流行っております。


 コーディネートの差色として派手な色の無地ソックスが流行るのはわかるとしても、
ダサいと言われ続けてきた白無地靴下がなぜ流行に!?と驚かれた方も多いハズ。




昨年秋からメンズファッションで真っ白の靴下がトレンドに浮上してきた印象がある。
先月、今月に発売されたメンズファッション雑誌各誌を開いてほしい。
どの雑誌でも構わない。カジュアルテイストの強い雑誌でもドレッシーな雑誌でも
白無地の靴下を履いたモデルが何人も登場する。
このにわかに巻き起こった白無地靴下人気の良さが筆者には理解できず戸惑うばかりである。


ダサいサラリーマンの代名詞、白無地靴下の逆襲:日経ビジネスオンライン





これが白無地靴下に関する一般的なイメージでしょうか?


 今回はこの白無地靴下ブームがどこからやってきたのか。
トレンドを振り返りながら紐解いていきたいと思います。





■【結論】白ソックスはアメトラブームにのってやってきた



トムブラウン 白ソックス.jpg

アメトラ復活の原動力トムブラウンも白ソックスを履いている


 白ソックスは「“白ソックス男子”急増、
あえて見せるのがダサカッコいい!? 日経トレンディネット
」と取り上げられているように、
2011年からすでにトレンドになっています。



それがようやく変化してきたのは、アメトラ(アメリカントラディショナル)
ブームでスラックスがストリートで履かれるようになってから。
適正なサイジングが求められるパンツなので裾から靴下がチラチラ見え、
裸足に合わせるのも難しいため、ボーダーやアーガイルなど
トラディショナルな柄を合わせる人が多かった。


 2011年に何があったのかというと「OJIファッションブーム」です。
皆さん覚えていますか?これは2010年からのトレンドで、
オジパン、オジシューズ、オジ風メガネ、オジ系ジャケットなど、
おじさん御用達の古臭いアイテムを取り入れるスタイルです(レディスから流行った)。

チノパンブーム
の始まりでもあります。


 その中の1つにおじさんの代名詞である白ソックスもあり、
それが今の白ソックスブームに拡がっていったのです。


 ここで気付いてほしいのが、「オジパン=チノパン」、「オジシューズ=革靴(ローファ)」、
「オジジャケット=ブレザー」と「OJI」の元を辿れば2007年からのアメトラブームに端を発していること。
実は白ソックスもアメトラの1つなのです。
な、なんだってー!という声が聞こえてきそうなので少し調べてみました。





■白ソックスはアイビーの文法の1つ




アイビー・リーグ校のキャンパスを密着取材した写真集


 アメトラはアイビーとも言い換えることができます。
そのアイビーファッションのバイブルである『TAKE IVY』を調べてみたところ、
カラー50ページの中で実に27人が白ソックスを履いています。
なんと白ソックスを履いている人の方が多いという結果です。
これには私も驚きました。見落としていただけでふつうに皆さん白い靴下。
表紙左端の人もそうです。


 合わせているアイテムをチェックすると、白のデニム、半ズボン、クロップドパンツ、革靴、ジャケパンスタイル等。
スラックス(ドレス仕様)やスーツ以外のカジュアルシーンでは全て白ソックスを
履いていると言っても過言ではありません。それがアイビーリーガーの日常だったのです。


 念のため『IVY ILLUSTRATED―絵本アイビーボーイ図鑑』や
TAKE 8 IVY』も
確認してみたところ、こちらも白ソックスの割合の方が多いです。


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なんという白ソックスアピール


 欧米か!と突っ込まれそうなので日本ではどうだったのかと調べてみると、
81年のMEN’S CLUBアイビー特集号の特集1ページ目のスタイルがこれです。
コードレーンのスーツ、ボタンダウンシャツ、リボンベルト、
サドルシューズ、ネクタイのストライプが右下がり(リバース)。
これでもかというほどアメトラをやっています。
ここに白ソックスを合わせるのはそれがお約束だからでしょう。


メンクラ86.jpg

白ソックスはワードローブの基本


 86年のアイビー特集号では、アメリカンクラシックを信条とするBASCOのデザイナー、
ランス・カレッシュがアイビースタイルの指導をしています。
そこでの白ソックスの扱いがこちら。



「白かオフホワイトのソックス。スウェット地がいい。靴は最初の一足はなんといってもローファー、
ドレッシーにもカジュアルにも、また季節を問わずにはけるから」


 白のソックスは最初に揃えるワードローブの基本という位置付け。
白ソックスはアイビーの文法の1つだったのです。


 以上の事から、おじさんが白ソックスを履くのは爆発的に流行ったアイビーファッションの
影響にあると考えられ、アイビーファッションは教条主義なので右へ倣ったのでしょうね。


 もちろんアイビーファッションでもスーツスタイルに白ソックスはNGですが、
カジュアルシーンならNG、ダサい、ハズシなどではなく、
むしろそれが正統なスタイルだったのではないでしょうか。
だからこそトム・ブラウンのコレクションにも白ソックスがよく出てくるのです。





■トレンドが一周した




現在NGとされるアイテムの多くはこれに載っている



電車で座ったときのことを思い出してみて。前の人のソックスが見えるから。
せっかく全身かっこよくなっても、ソックスが白いおじさんっぽいやつだったら台無しだよ。


 いわゆるダサいとされているアイテムの多くが脱オタクファッションガイドの
「オタク定番NGリスト」に入っております(それがいまだに
NAVERまとめなどで拡散されている。ある意味罪深き?リスト)




 他にハイテクシューズ、ダッフルコート、チェックシャツ(ネルシャツ)、
タック入りのチノパン、ベスト、デイパック、大きくて厚いマジメ君メガネ、オーバーニーソックス等もリストに入り。
ここで疑問に思うはずです。あれ?これリストに入っているアイテムはNGどころか
トレンドになってない?と。


 若者は流行っていないアイテムをおじさん扱いする傾向にあるのですが(例:ポロシャツ、タートルネック、
ナイロンブルゾン、ローファー、チノパン等)、トレンドによってそんなのはひっくり返ります。
プロデューサー巻き、チノパン、クラッチバッグ(セカンドバッグ)、
ストッキング(おばさんっぽいと敬遠されていた)、七三分け
太眉などの人気が見事に復活していますよね。白ソックスも同じです。
トレンドが一巡したのです(よくトレンドは20年周期と言われている)。



 付け加えるなら、トレンド感度が高いティーンズ向けの女性誌でも
おじメン好き女子急増中!
と特集が組まれています。今はおじさん的な何かが人気であり、それが次々と復活しているというトレンドの流れにあるので、
白ソックスがお洒落の最先端になったところで何の不思議もありません。
アメトラのお墨付きでもあります。


 ただ、女性誌をチェックしていると、今はアメトラよりスポーツのトレンドが強く、
履き口に赤、紺、黄などのラインをあしらったソックスが人気です。
ファッションの文脈がアメトラからスポーツ・ストリートに移っているようにも見えます。



 男性誌だとPOPEYEがスポーツソックスに見られるチューブソックス(つま先とかかとがない筒状の靴下)を
よく取り上げています。こちらもただの白無地靴下ではないのでそこはご注意を。




 なんにせよ、脱オタクファッションが盛り上がっていた00年代前半のイメージをいつまでも引きずっていたら、
「最近の若者のファッションは理解できない」とそれこそセンスまでオジサン化してしまいますので、
ひとまず個人的な白ソックスの好き嫌いは置いておき、
そのイメージは更新しておいた方が良いかと思います。



 余談。おじさん(アイビー)という切り口以外だと、
白ソックスは学生のイメージも強いですよね(のび太とか)。
制服に規定されているような白ソックスを「クルーソックス」というのですが、
そのクルーは船の乗組員を意味します。中高生の制服は、詰襟(日本海軍・陸軍説もある)、
ダッフルコート(イギリス海軍)、ピーコート(イギリス・アメリカ海軍)、
ブレザー(イギリス海軍)、セーラー服(イギリス海軍)などほとんど海軍由来です。
海のアイテムの色は紺と白が基本なので(もちろん紺の詰襟もある)、
スクールソックスも紺と白が定番なのではないでしょうか。


 結局、白ソックスはおっさんとガキしか履いてないダサイアイテムでしょ?と言われそうなので、
カルチャー面からも1つ紹介しておくと、イギリスのツートンムーブメント(1979~1981年のスカのリバイバル運動)でも
白ソックスが履かれています。丈が長くなってきたのでこちらの詳細は省きますが、
気になる方は『メンズウェア100年史 (P-Vine Books)』の
280ページに掲載されているのでそちらをお読みくださいませ。





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